HACCP実践研究会:中小企業のHACCP導入を推進
2010.01.28
HACCP実践研究会は2010年1月27日、品川・きゅりあんで第18回目となる「フォローアップ研修会」を開催した。今回は、農林水産省総合食料局産業企画課の片桐薫氏を講師に迎え、「HACCP手法の推進について」とのテーマで行われた。
また、研修会に先立って行われた総会では新しい役員人事の発表があり、金澤俊行氏に代わり加藤登氏(東海大学海洋学部学部長)の会長就任が全会一致で承認された。同研究会ではHACCP導入を推進する上で、現場の多様なニーズに応えうる、より実践的なアプローチに力を入れていく考えで、新会長の下に会長代行職として本間忠雄氏を配置するなど、厚みのある組織体制を敷くかたちとなった。
フォローアップ研修会では、片桐氏は農林水産のHACCP手法の推進の役割や考え方をあらためて明確に示すとともに、平成22年度(2010年)の「食品産業HACCP等普及促進事業」(予算1億7800万円)での主眼を述べた。HACCP手法の普及・定着に必要な人材育成のための研修や認知度向上のための消費者団体と連携した普及・啓発を推進する。具体的には、HACCP導入セミナーなどの実施や責任者・指導者養成研修の実施、HACCPを核とした全社的な品質管理体制づくりの普及などである。
平成15年に時限立法として施行された「HACCP法」(通称)は、5年ごとの見直しで延長されながら、これまで一定の効果を上げてきた。食品販売金額別の導入状況(平成18年度食品産業動向調査)では、50億円規模を超える企業では「導入途中」「導入済み」を含めれば7割を超えている。しかしながら、50億円規模以下で中小企業では約16%(1億円〜50億円)であり、1億円以下の零細企業では5%に満たない。
こうした状況を踏まえ、平成22年度の事業では主に1億円〜50億円規模の中小企業に重点を置いた導入促進に力が注がれる。平成18年度の調べでは「導入途中」(4.4%)「導入済み」(11.5%)を含めて約16%で、「導入を検討」が34.0%であったことから、平成24年度(2012年)に「導入済み」を50%まで引き上げる考えである。ちなみに、これまで民間活動も含めて数千人のHACCP指導者が育成されてきており、そのうち自社を超えた指導にも前向きな姿勢を示す人が数百人いることから、農林水産省では今後こうした人材の活用を視野に入れている。