〈編集部発〉新しい価値創造の時代へ
2010.01.27
経済危機を契機にした世界的な景気低迷下、国内では戦後初のデフレスパイラルが懸念されている。識者の中には、景気対策という対処療法だけなく、未だ抜け出せない高度経済成長期の産業構造からの脱皮を志向した、パラダイムシフト(paradigm shift)を標榜する人もいる。大仰に考えなくても、グローバリゼーションが進行する中で、プロダクト・マーケットは国境を超えてまさしく"時代変革"の転換点に立たされている。
特にプロダクト・マーケットではパッケージングが開発での1つの重要なキーを握っていることは間違いない。まさに志向されるパラダイムシフトを支えるはずは、パッケージングをキーとした新しい価値創造である。その価値創造の源泉として、大手新聞に掲載されていた或る識者の興味深い論文の1部を紹介する。
曰く「時代変革に挑むパイオニアは、真の現実である『今、この瞬間』を見据え、そこに集中し、そこから価値創造を開始する。やむにやまれぬ衝動に後押しされるように、無辺の時空を包摂した豊穣な現実の、あまたある選択肢の中から『善の価値』『善の言葉』を、丹念に注意深く、ある時は果敢に選び取っていくのであります。学問に王道がないように、『善』の道にも王道はない。現実に身を置き、あえて苦難に挑戦しながら、不断の精神闘争の溶鉱炉の中で、徹底して己を鍛え上げていくしかない。そこに『善』を成就させゆく直道が開けゆく」(一部意訳)と。
少し長い引用となり、また詩的な表現にも感じられるが、要は現実の中で磨かれた感性が新しい価値を紡ぎだすということだろう。あまり聞きなれない「善」という言葉は、環境配慮やユニバーサルデザイン、表示、機能など社会ニーズに適した包装・容器の有する利点といえるものだろう。かえって詩的な表現であるだけに目下、新しい価値創造を求めて現場で日々悪戦苦闘している商品開発者たちには大きな励ましとも、支えともなろう。まさに「新しい商品開発に王道なし」である。