エスエス製薬:省エネ型コーティング技術を開発
2010.02.18
エスエス製薬は、シルクのような艶をもつ省エネ型の錠剤コーティング技術「Silky Luster System」を開発した。同開発成果を2010年3月28〜30日の3日間、岡山で行われる日本薬学会の第130年会で発表する予定である。
医薬品には多くの剤形が存在しており、同社でも多くの錠剤タイプのOTC医薬品を製造・販売している。これら医薬品の錠剤製品の表面には、独自の高度なコーティング技術が施されており、苦味を抑える、仕上がりを美しくするなど、さまざま役割を担っている。
「Silky Luster System」は、「糖衣錠」と「フィルムコーティング」の2つのコーティング技術の特性をうまく組み合わせたもので、糖衣錠のように美しい艶のある仕上がりで、フィルムコーティング錠の省エネ型の長所はそのまま備えている。「糖衣錠」は糖衣というコーティング方法で製造されるもので、錠剤の表面が滑らかで艶があるが、その製造プロセスは複雑で多大な時間とエネルギーを要する。また「フィルムコーティング」は、製造工程がシンプルで時間は短く、省エネ型というのが長所だが、錠剤の表面に艶がなく仕上がりの美しさという点では糖衣錠よりも劣る。
同社では、このフィルムコーティング錠の表面に、糖衣錠のような艶をもたらす特殊な製造方法の開発に着目し、研究を重ねてきた。そして、被膜剤の組成を工夫することにより、錠剤の表面を従来よりも滑らかに仕上げる技術の開発に成功しものである。従来のフィルムコーティング錠のくすんだ表面のイメージを大きく変え、輝きの指標である「光沢度」では糖衣錠の数値を上回り、その絹のような輝きから「Silky Luster System(略してSLS)」と名付けられたものだ。
もう1つの大きな長所は省エネ型の製法である。特殊な工夫を施してはいてもフィルムコーティング錠であり、その製造工程は糖衣錠と比べるとシンプルである。これまで糖衣錠として製造していた製品を、新技術を用いて新型フィルムコーティング錠として製造した場合のシミュレーションでは、時間とエネルギーを大幅に節約できるという試算結果が出ている。