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メッセ・デュッセルドルフ:欧州での包装設計トレンド

2010.03.01

n_20100301_01.jpg 「サステイナビリティー(sustainability:持続可能性)」などをテーマに、欧州では環境配慮が包装設計での重要な視点となっている。その1つとして、国内と同じく「カーボンフットプリント(Carbon footprint)」への関心が高まりつつある。しかしながら、欧州にはまだCFPの統一した定義が存在しないことも事実である。ドイツやオランダ、フランス、イギリスなど西ヨーロッパの中心になる国々の中でも定義や対策、法律が異なっている。
 CFPではイギリスが先駆けていることはいうまでもないが、ドイツやフランスでもすでにCFPの表示へと動きつつある。またオランダでは、容器・包装素材メーカーが20085月から特別税金の対象になっているが、その税金の計算の基礎は製造工程の中で排出されるCO2量に依るものである。とはいえ、CO2排出量のみで商品の環境への影響を判断することには疑問や批判の声もあるようだ。
 例えば、
2009年の10月に開催されたガラス包装業界による「Trendtag Glas」の会議では、コカコーラの欧州支社の環境・水資源担当のシュタドラー氏(Dr. K. Stadler)などが疑問を呈しているとともに、「包装と環境を考える会」(Arbeitsgemeinschaft Verpackung und Umwelt e.V.)が200911月に開催した会議の結果では、CFPのコンセプトはすでに導入済みの環境への影響を判断するための他のコンセプトより単純であるとの意見などがあがっている。欧州では、CFPを扱うイニシアティブが統一した基準を採用しなければ、消費者を混迷させ、決して環境保護の目的達成に役に立たないとの批判も現れつつあるようだ。
 またドイツをはじめ欧州の国々でも、国内と同様に高齢社会の現出へのマーケットプロダクトの対応が求められている。高齢者へのプロダクトおよびパッケージングでの対応といった点では潜在する不満が多い。
100以上の組織をまとめる総括団体であるBAGSOが行った調査によると、「容器に印刷される賞味期限の字が読みにくい」(66%)や「容器が開けにくい」(64%)、「容器のサイズが大きすぎる」(54%)といった不満を高齢者が持つことが分かっている。
 例えば、弱化していく視力を扱う事例では、老人ホームに食事を供給するメニュー・アンド・モア社の委託を受けて、スイスの広告会社
Advico Y&Rが開発した使いやすい容器などが新聞や各種メディアなどで取り上げられている。メニュー別の色コードと超大型文字の表記などが特徴である。
 こうした欧州での包装設計トレンドを最も反映して開催されるのが、世界最大規模包装展「国際包装機械・資材・製菓機械展(
interpack)」である。3年に1回開催されるもので、次回は2011512日〜18日の7日間、ドイツのメッセ・デュッセルドルフで開催される。革新的な包装技術から包装材料の先進的な製作まで、幅広い包装関連分野の展示や発表が行われる。前回(2008年)開催は、合計121国から2746社の出展があり、来場者は179000人に上った。2011年の特別ゾーンやイノベーションを幅広く紹介する「イノベーション・パーク」のテーマは「Quality of Life」(生活の質)となる。包装技術とサステイナビリティー、健康、暮らしとのリンクさせる、あらゆるイノベーションが紹介されることになろう。