東京食品機械:使用量を半減の真空包装フィルム
2010.03.02
東京食品機械は、従来のプラスチック使用量を半減するスライスハム用包装フィルムの新素材「HEPTAX(ヘプタックス)OHタイプ」をグンゼと共同開発し、2010年2月4日にパテント申請したことなどから、2010年3月から本格的な販売を開始する。これは、同社の真空成形包装技術とグンゼの多層化延伸技術によるもので、同社が総販売代理店となるかたちで、グンゼが新素材を用いた包装用フィルムを供給する。
これに合わせて、グンゼでは生産子会社の福島プラスチックスで生産設備を増設中で、2010年7月にも稼働予定である。現行の生産能力を約3000トン倍増させる計画で、さらに2015年度をめどに最大7000〜8000トンまで増やす予定である。グンゼでは2010年度には2億円、2012年度には2倍の4億円の販売を見込んでいる。
現行のスライスハム用の真空包装は、OPP/透明蒸着PET/LLのトップシール材と肉厚の無延伸の成形フィルムで構成されており、フィルム厚みはトータルで約160μmとなっている。新素材を用いたスライスハム用包装フィルムでは、トップシール材と成形フィルムともに薄肉化ができ、フィルム厚みは約80μmと半減となる。イージーピールタイプでは、PET蒸着/ピールフィルム(トップシール)と新素材/PET(成形フィルム)の構成なり、易カットタイプでは、PET/新素材(トップシール)と新素材/PET(成形フィルム)との構成となる。
従来は延伸フィルムでは成形が難しいとされていたが、同社のこれまでの経験や真空包装技術により約2年半の開発期間を経て実用化に至ったものである。同社包材部部長代理の葛生光雄氏は「新素材ではスライスハムが1パック4枚以上となる深絞りはまだ難しいといえます。ただ国内では高齢化が進んでおり、スライスハムなども1パック2〜3枚へとシフトしつつあり、こうした新しい需要にいち早く応えていきたいと思っています」と語る。
同社では、従来品からの代替というよりも新しい需要開拓に注力したい考えで、プラスチック使用量だけでなくCO2排出量の削減値なども試算している。すでに商品パッケージへのカーボンフットプリント表示を始める大手ハムメーカーなどもあり、包装資材コストの低減もさることながら、CO2排出量削減などの販促効果も期待されるところである。