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ニュースフラッシュ

〈編集部発〉第2回「ジェイクルーズ」を開催

2010.07.30

n_20100802_01.jpg ジェイパックワールド(JPACKWORLD)主催の"飲料容器開発"をテーマにした第2回「ジェイクルーズ」が無事終了した。「サントリーの"飲用時品質"を追求したアセプティック化と容器設計・開発、今後の動き」をテーマにサントリービジネスエキスパート・SCM本部新包材技術開発部長の高田宗彦氏が講師を担当し、"飲料容器開発"の最前線で活躍する有力サプライヤーが勢ぞろいしたかたちとなった。
 講演内容は、2006年に発足した「PET戦略プロジェクトチーム」からスタートした。それは、飲料メーカーの戦略としての"アセプインプラント化"であるだけに、列席したサプライヤーの表情は真剣であった。講演終了後の意見交換の中で、冗談まじりに出た「『ヤバイっ』というのが講演を聞いた実感です」との声が、最も端的に講演内容を表すものであろう。もちろん「ヤバイ」には2つあり、「非常に勉強になった」というのと、「背筋がゾッとした」という意である。

◎PET戦略プロジェクトから始まった

 「新たな設備投資ではアセププラント以外は考えられない」という高田氏の発言を何度か聞いたが、そのことをハッキリと裏付ける内容となった。コストダウンが命題ともいえるが、いわば急速に変化しゆくマーケットニーズへの本格的な対応といったことでの一環ともいえる。もちろんコストアップは除外されるが、新規設備や新技術、新素材の導入といった点で必ずしもコストダウンが求められるということでもない。
 本誌(ジェイパックワールド7月号)で紹介した共同開発による「ハイブリッドボトル」の採用などはそうした事例の1つである。中身の製品特性と密接に関係するパッケージは本来そうあるものだが、その開発は確実により共同化していく方向にある。それを進めることが「PET戦略プロジェクトチーム」の役割であり、それを象徴しているのが"アセプインプラント化"といえよう。
 PET戦略プロジェクトチームの実務の1つに、"独自性のあるボトルの開発・提案と開発納期の短縮"というのがある。これまで、サプライヤーに丸投げしていたものを、内製化することで開発納期を短縮しようというものだ。2008年には、2006年比で期間を約半減している。つまり、ボトルの開発力が確実に向上しているということだ。サントリーに限らず飲料メーカーの「自己教育」ぶりは驚くほどで、サプライヤーの役割を改めて問い直す内容となったに違いない。
 同社では目下、トップの号令下でサステナビリティと顧客の飲用時品質を追及している。当面はサステナビリティの追求によりコストダウンは実現できるとしているが、中期的視点からはコストアップになる部分導入も視野に入れている。何はともあれ「PET戦略プロジェクトチーム」の発足から、アセプインプラント化をベースにボトル軽量化やキャップのショートハイト、段ボール包装のフィルム化、ロールラベル化など次々と新たな導入を進めてきた。
 高田氏への取材のたびに、「次を楽しみにしていてください」と次の予告が付くことにいつも驚かされる。とはいえ「スタート時の戦略通りに進めているだけです」と、PDCA(Plan:計画、Do:実行、Check:確認、Action:改善)サイクルの基本に立ち返らされる。国内外のプロダクトマーケットを超えて山積する問題群と混迷する社会情勢を目の前に、こうした基本に立ち返った取り組みが必要であることを感じる。
 「天然水」の2L PETボトルではいち早くショートハイトのキャップ導入に踏み切ったサントリーだが、「飲料キャップのショートハイトはない」と言い切る高田氏の確信は、PDCAサイクルから生まれるのではなかろうか。良き意味での競合と協力関係をいかに築くのか。サントリーをはじめとした飲料メーカーの「自己教育」への意欲にサプライヤー各社も遅れを取っていては明日がない。
 サントリーのコーポレートメッセージは"水と生きる"であるが、源流となる水が滾々と湧き出るように、探求心と勢いがあるところに人もモノも集まるものである。「皆さんで協力して一緒につくりましょう!」との、高田氏の最後の呼び掛けが非常に印象的であった。