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NEC:安定供給性と耐久性を実現したバイオプラ

2010.08.27

 NECは、安定した供給性と70%以上の高い植物成分率、電子機器に必要な耐久性を同時に実現するバイオプラスチックを開発した。これは、世界初となるものだ。筑波大学で2010年8月31日に開催される「日本化学会関東支部大会」で発表する予定で今後、量産技術や用途に応じた実用特性を実現するための研究開発を進め、2013年度内に電子機器向けの実用化を目指す。
 草や穀物の茎などの主成分で、石油代替が可能なほど豊富に生産されているセルロースを主原料に利用したもの。これにカシューナッツ生産時に大量に副生する殻から抽出される油状物質(カルダノール)を化学結合したバイオプラスチックである。植物資源であるセルロースとカルダノールを主原料に用いることで、高い植物成分率(70%以上)を達成する。これにより、従来のセルロース系バイオプラスチックの特性確保に必要だった、石油系添加剤の大量混合による植物成分率の低下を防止した。
 水をはじき、柔軟な部分と、変形しにくい部分からなる分子構造を持つカルダノールを、化学反応しやすいように改質し、セルロースと化学結合する。これにより、加熱した際の溶融性(樹脂化)、強靭性(強度・伸び)、耐熱性、耐水性、および短時間で成形できる非結晶性を同時に実現している。従来のポリ乳酸やセルロースを用いたバイオプラスチックなどと比較して、強靭性はポリ乳酸比約2倍、セルロース系と同程度。耐熱性(ガラス転移温度)はポリ乳酸比約2倍、セルロース系比約1.3倍となる。
 また、耐水性はポリ乳酸と同程度、セルロース系比約3倍で、成形時間ではポリ乳酸比5割以上削減、セルロース系や石油系プラスチックと同程度となる。近年、量産化が進んでいるポリ乳酸を用いたバイオプラスチックは、主に家畜飼料用の穀物から生産したデンプンなど、食用の植物資源を原料としているが、今後は非食用の植物資源を用いたバイオプラスチックとして、セルロースやヒマシ油などを原料に用いた開発や実用化を進められる。
 特に、豊富な生産量を持つセルロースを用いたバイオプラスチックは、文具や玩具、生活用品などで実用化されている。しかし、セルロースを利用する場合、石油系の添加剤(可塑剤など)を大量に使用する必要があるため、植物成分率の低下や耐水性、耐熱性などの高い耐久性の実現が困難であるという課題もある。ヒマシ油を利用する場合、原料の安定供給性に懸念があり、耐久製品に広く実用化するための特性が十分ではなった。同社の開発はこうした課題を解決したものである。