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ニュースフラッシュ

東セロ:高機能ポリエチレンフィルムを開発

2010.09.15

 東セロは、高機能ポリエチレンフィルム「エルスマート」を開発した。三井化学がグループ内フィルム・シート事業の強化・拡大を進めているもので、「エルスマート」はそのシナジー効果が発揮された1つである。原料は三井化学グループのプライムポリマーが供給する。同社では、食品包装に止まらず非食品分野への展開も図ることで、年間売上高40億円を目指す。
 「エルスマート」は、独自製膜技術を駆使した高機能ポリエチレンフィルムである。シーラントフィルムとして使用した場合、従来のL-LDPE(直鎖状低密度ポリエチレン)フィルムに比較して、内容物の味や臭気に及ぼす影響が少なく、剛性・耐ピンホール性・易カット性を大きく向上させる。高い剛性を持つことから、包装材の大幅な薄肉化が可能となり、幅広い用途展開やフィルム構成の簡素化が期待される。
 例えば、シーラントへの使用例では厚さ60μのL-LDPEフィルムと比較した場合、「エルスマート」は、厚さ30〜40μでほぼ同等の剛性を保持できる。包装材の薄肉化により、原料使用量及び使用後の廃棄物量の減量化が図られるため、省資源及び環境負荷軽減に貢献する環境対応製品でもある。耐ピンホール性評価(ゲルボフレックス試験)では、30μの「エルスマート」は、60μのL-LDPEフィルム以上の耐ピンホール性能を有しており、従来品以上の物理的強度を発揮する。
 原料となるポリエチレンは、プライムポリマーが供給するメタロセン直鎖状低密度ポリエチレン「エボリュー」で、独自のメタロセン触媒技術と多段重合プロセスにより製造されたポリエチレンである。この技術により、フィルムの成形が容易になる他、得られるフィルムに剛性・強度の両方を持たせることができるため、薄肉化による原料使用量の大幅な削減が可能だ。
 また、シール強度や低フィッシュアイ、低臭といったシーラントに不可欠な特徴を有しており、日本及びアジアで食品や生活用品向けの高機能包装材を中心にシェアを拡大している。特にアジアでは、経済成長や生活習慣の変化に伴って包装材の高機能化が急速に進んでおり、「エボリュー」の大幅な需要拡大が期待される。
 プライムポリマーでは、このシーラント市場での「エボリュー」の需要拡大に応えるため、市原工場の年産能力24万トンを2011年末までに6万トン増強し、年産30万トンにする予定である。またアジアでのマーケティング力強化のため、「エボリュー」の営業拠点を従来のシンガポールに加え、2009年4月から中国・上海にも設置している。