味の素:米国農務省研究機関と共同研究を開始
2010.10.29
味の素は、米国農務省(USDA)の主要研究機関の1つである、West Human Nutrition Research Center(WHNRC)と、うま味がもたらす満足感による過剰カロリー摂取の抑制効果についての共同研究契約を締結し、2010年10月から開始している。3年間の予定で、米国最大の社会問題の1つである肥満問題の解決に取り組んでいくというものだ。
同社は、WHNRCと肥満の抑制には、食品や食品の栄養素に着目した新しい取り組みが重要だと考えている。そのため、うま味を多く含む食事をとると、満足感のシグナルが脳に伝達され、満足感向上や空腹感低下が起き、過剰カロリー摂取を抑制するという仮説のもとに研究を進め、肥満抑制研究への応用を検討していく。さらに、WHNRCが併設されているカリフォルニア大学Davis校の最先端のfMRI(機能的磁気共鳴画像)解析による脳の画像解析等を用い、うま味摂取と満足感そして過剰カロリー摂取の抑制との相関関係について、そのメカニズム解析も行っていく予定である。
また近年、同社はうま味には、食品においしさを付与するだけではなく、消化液や唾液の分泌を促すなどの生理的機能があることを解明してきた。うま味の摂取により体重増加が抑制される動物試験の結果や、うま味の摂取量と体重減少の相関関係の疫学的研究、健常者は肥満者に比べうま味に対する味覚感度が高いといった研究結果が得られている。同時に、これらのうま味が及ぼす新たな生理機能の研究も進め、肥満抑制研究につなげていきたい考えである。
1908年に、東京帝国大学の池田菊苗博士が昆布からうま味を発見してから100余年。今日、うま味(umami)は世界中に普及している。同社は「おいしさ、そして、いのちへ。」というコーポレートスローガンのもと、今後も世界の食の課題解決と人々の健康な生活に貢献していきたい考えを示す。
※West Human Nutrition Research Center(WHNRC)...米国農務省(USDA)の米国内主要研究機関の1つ。アメリカの国民の健康を改善することをミッションとしている。米国における栄養・食料研究の中核大学であるカリフォルニア大学Davis校のキャンパスに併設され、設備の共用や人的交流により、官学連携で同研究分野をリードする。