武田薬品工業:スイスのNycomed社を買収
2011.05.19
武田薬品工業は2011年5月19日、スイスのチューリッヒに本社を置くNycomed A/Sを96億ユーロ(株式価値+純負債ベース)で買収することについて、株式保有者と株式譲渡契約を締結しましたことを発表した。今後、必要な規制当局の承認を受けてNycomed社の株式100%を取得し、90日から120日の間に子会社化する予定である。
これは、「11−13中期計画」での持続的成長の実現に向けた基本戦略を大きく前進させるもの。買収によって、同社が高いプレゼンスを有する日本および米国の事業に、Nycomed社が販路を有する欧州および高い成長を続ける新興国の事業基盤が加わることになる。
それにより、開発力・販売力が強化され、製品・パイプラインのポテンシャルが一段と高まることになる。さらに将来の成長の源泉となり得るファーストインクラスの慢性閉塞性肺疾患(COPD)治療薬「Roflumilast」(製品名「Daxas」)を獲得することになる。
同社は、Nycomed社の新しい企業文化と融合することで、新たな変革を起こしたいと考えている。多様な人材が世界中でダイナミックに活躍する真のグローバル製薬企業として、「優れた医薬品の創出を通じて人々の健康と医療の未来に貢献する」との経営理念の実現を着々と進めていく考えである。
Nycomed社は、医療用医薬品と新興国でニーズが高い一般用医薬品を事業の柱に、各国・地域の市場環境や医療ニーズに合った多様な製品の提供を強みとする。2010年の年間売上高は28億ユーロ(買収対象外である米国皮膚科事業を除く)であり、欧州での事業強化と新興国での事業拡大に加え、買収初年度から安定的なキャッシュフローとなる見込みである。