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ニュースフラッシュ

大日本印刷:包装材用バイオマスプラスチックフィルム開発

2011.05.02

n_20110501_05.jpg 大日本印刷は、植物由来の原料を一部に使用した包装材用フィルム「バイオマテック PET」を開発した。同社では生産体制を整備し、2011年5月には量産を開始する予定である。これまでも「生物多様性・持続可能性」に配慮した包装材の開発に注力しており、その一環として、植物由来の原料を用いたバイオマスプラスチックの包装材の実用化を推進するものだ。
 バイオマスプラスチックは、枯渇資源である石油の使用量を減らすとともに、焼却処分する際のCO2の排出量を従来のプラスチックより減らすことができるため、環境負荷の低い材料として注目されている。従来のバイオマスプラスチック製品には、耐熱性や強度の向上、製造コストの低減といった課題がある。
 同社では2006年に、バイオマスプラスチックのポリ乳酸を使用した包装材用フィルムを開発したが、同様の課題から本格的な導入には至っていない。今回これらの課題に対して、サトウキビ由来の原料を使用したPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム「バイオマテックPET」を開発したものだ。
 バイオマテックPETは、フィルム製造コストを従来の2〜3割増の範囲に抑え、機能性でも従来のPETフィルムと同等レベルを実現している。同社では環境対応部材の早期使用を望む顧客企業の声に応えてバイオマテックPETを開発し、2010年11月から1部の得意先企業にサンプル出荷を行ってきた。複数の企業より採用の意向を得て生産体制を整備し、2011年5月に本格的な量産を開始する予定である。
 バイオマテックPETは、PETフィルムの原料の約3割を占めるエチレングリコールを、石油由来のものからサトウキビ由来のバイオエタノールで作られたものに置き換えることで、石油使用量の削減を実現する。また焼却処分時のCO2の排出量を2〜3割程度減らすこともできる。
 従来のPETフィルムと同等の耐熱性や酸素・水蒸気バリア性、加工適性を備えており、シャンプーなどの日用品や調味料などの食品に使用される詰め替え用パウチ、レトルト食品などの包装材用途に適している。またPETフィルムに蒸着加工を行い、よりバリア性を高めた包装材の提供も可能となる。
 価格では通常、バイオマスプラスチックを用いた包装材は従来品の1.5〜2倍程度割高となるが、バイオマテックPETは、PETフィルム自体の製造コストを従来フィルムの1.2〜1.3倍程度に抑えている。さらに包装材の仕様を工夫することで、包装材としての価格を従来品の1.1倍以下に抑えるなどの対応も可能である。同社では今後、食品や飲料のメーカーや日用品メーカーなどに向けて提供している包装材のPETフィルムを順次バイオマテックPETに切り替えていく予定で、2015年度には100億円の売上を見込んでいる。