花王:小サイズ用化粧水詰め替え新容器
2011.07.15
花王は、ユニバーサルデザイン(使いやすさ・わかりやすさ)に配慮し、こぼさずに安心して詰め替えができる化粧水用の新しいボトルタイプの詰め替え容器を開発した。同社の試算では詰め替え容器の使用により、本体を買い替える場合に比べて樹脂使用量を約2分の1、二酸化炭素の排出量も約2分の1に削減することができるとのことだ。
同研究内容の一部は、日本包装学会第20回年次大会(2011年7月7日から8日、京都)で発表された。通販用「オリエナ」の化粧水詰め替え容器に2010年から採用しており、今後も「ソフィーナ」の化粧水などの容器開発に応用していく考えである。
詰め替え容器の転換率は80%に達しているが、これらは比較的容量が大きく(内容量:数百ml)安定していて倒れにくい。それに比べて、化粧水の容器は小さく(100〜150ml程度)不安定で倒れやすく、ボトルの口径が細いため、こぼしそうで詰め替えにくいという声があったようだ。
新しいボトルタイプの詰め替え容器は、一目見るだけで直感的に開け方が分かるプルリング方式を採用している。開封方向を示す大きな矢印を立体的に配置し、プルリングを見たままの方向に引くだけで簡単に開封できるプルリング・キャップを新たに設計した。指にかかりやすいリング形状と「梃の原理」が上手く働くように補強リブを配置することで、年齢を問わず女性の指1本で簡単に開けることができる。
ボトルに挿し込んでスムーズに注ぐことができるよう、注ぎ口を45度にカットしている。斜めノズルは一般的な水平の注ぎ口に比べ、開口面積が1.4倍になるため、内容液が脈を打つように流れる脈動がなくスムーズに注げ、詰め替え時間が2分の1に短縮する。また薄肉プラスチックボトルの採用とともに、女性が片手でも安心して持つことができる形状設計である。
プルリングの位置の異なる3つの代表的なモデルを用いてアイカメラによる視点解析を行なった結果、開けやすさはプルリングを引く方向が直感的にわかることが重要である。そこで開封方向を矢印で示すと同時に、視認性のよい場所に矢印を表示してプルリングの位置を決めたとのことだ。開封強度の解析を行なったところ、プルリングを斜め下方向に引いた時に開けにくい(応力が開封開始部分とノズル壁部分に分散してしまう)という課題があり、この点についてはプルリングの根元に補強リブを配置して「梃の原理」を利用することで開封強度を低減させている。
この他にもプルリングの樹脂に堅くて引き裂きやすいグレードを採用し、さらにプルリング径も多くの女性の人差し指第1関節が入る15.4mmとするなど、開けやすさをアップさせた。ストレスを感じることなく化粧水が詰替えられる時間は、使用評価から15秒と設定しました。化粧水の本品ボトルは口径が細いため水平にカットしたノズルでは、内容液の脈動現象が避けられない。
そこで直径12mmのノズルを採用し、注ぎ口を斜め45度にカットすることで開口面積を水平カットの1.4倍とし、注ぐ時に空気置換がスムーズにできるようにしている。結果として、脈動を抑えることで詰め替えを10秒程度で完了できるようなった。また外形寸法は親指と人差し指、あるいは親指と中指がつくる輪の内径を測定した統計データを基に、多くの女性の指で握りやすい43.2mmという細身サイズを採用している。