ハイデルベルグ:先進のIJ技術と「Read to Print」技術を採用
2011.12.12
ハイデルベルグ社は、ドイツ・ライプチヒで開催された「ポストプレス・コマーシャル・インフォメーション・デー」で、コダック社並びにポップ・マシーネンバウ社と共同開発した特別構成の折り機「スタールフォルダー・フレキソメーラーシステム(ダイレクトメール用折り機)」を公開した。現在では国内での発売は未定である。
同システムは、コダック社のインクジェット・プリントヘッドを搭載し、折り加工と同時にダイレクトメールに必要なパーソナライズ情報がバリアブル印字できるものだ。ポップ・マシーネンバウ社が提供する革新的な用紙反転モジュールを採用し、用紙両面への印字が可能である。
用紙の両面に正確なバリアブルデータを印字するために、新開発の「リードtoプリント」技術を採用している。同技術を使用すれば、例えば表面に印字されたQRコードの情報を内蔵のカメラシステムで読み取って、その情報に対応したバリアブルデータを裏面に印字することも可能となる。ダイレクトメールの表面と裏側でバリアブル印字ができるだけでなく、表裏情報とのひも付けが正確にできるため、より高度で効果的なマーケティング戦略をコスト効率良く実現できる。
ダイレクトメールは、ターゲットに直接届く効果的なマーケティング手法として多くの企業が実施してきたが、よりレスポンスを高めるために顧客ひとり一人の年齢や性別、購買履歴、嗜好などにあわせて異なった内容を掲載する"One to One"マーケティングの需要が急増している。
今回のシステムを使用すればこうしたダイレクトメールで、これまで以上にターゲットを絞り込んだ、より効果的で付加価値の高いキャンペーンが実施できる。簡単かつ経済的に処理でき、ベースとなる用紙は枚葉印刷機で印刷されるため、輪転印刷機と比べてセットアップ時間が短く、小ロットの仕事に適している。
またオフセット印刷された用紙にインクジェットでバリアブル印字し、高品質でユーザーの心に届く効果的なダイレクトメールが生産できる。このようにオフセット印刷とデジタル印刷を組み合わせることで、顧客企業はもちろん、印刷会社やメーリング会社、広告代理店などが持つ豊富なアイデアを素早く具現化できるようになる。
アプリケーション開発を積極的に推進
同社は、数年前からポップ・マシーネンバウ社とコダック社と歩調を合わせて、メーリング分野のアプリケーション開発に取り組んできた。その成果の1つである今回のシステムでは、同社ポストプレス・コマーシャルのトップであるトーマス・クリシュケ(Thomas Krischke)氏は次のように語っている。
「当システムは、複雑で高度なメーリング作業に特化した、最高レベルの機器構成を誇るシステムです。しかも、細部にわたってテスト・検証済みの完璧なソリューションであることを約束します。お客様は。このシステムを使用することで、確かな利益を得ることができます」と。
メーリングアプリケーションに関する幅広い知識と経験は、複雑かつ専門的なアプリケーションを開発する基盤となる。これによって、同社は協力企業とコラボレーションすることで、顧客の要望にあった広範囲なシステムを提供できる。
ポップ・マシーネンバウ社の機器は、同社と同じ制御システムを採用している。このため、オペレータはシステム全体を完全に統合されたネットワーク環境のなかで違和感なく制御できる。例えばフィーダから給紙するのには、どこのメーリングステーションからでも始動できるため、機械の回りを歩き回る必要がなく、セットアップ時間を確実に短縮する。
また、コダック社のインクジェット・プリントヘッド「Prosper S10」は、ストリームインクジェットテクノロジーを採用した最先端のプリントヘッドである。プリントヘッドの特殊ノズルからは細かなインク液滴が連続的に生成され、この液滴をエアの流れ(ストリーム)によって選別・制御することで、高速性はもちろん、シャープで安定したイメージの再現を実現する。
用紙を反転することによって、裏面への印字が可能になり、この用紙反転装置は反転と同時に、用紙の搬送方向を90度変更する。これによりシステム全体の設置面積も削減している。
(写真キャプション)ポップ・マシーネンバウ社のメーリング機器とコダック社のインクジェット技術を統合。同システムで、顧客とのOne to Oneマーケティングの新しい動向に柔軟に対応でき、付加価値の高いメーリングキャンペーンを実現する。