《編集部発》日本を後追いする欧米のパッケージニーズ
2011.12.13
アマゾン・ドット・コムと米ウォルマート・ストアーズガ、メーカー各社に対して、パッケージの開封性の改善やムダの削減などでの仕様変更を働き掛けていることが報じられている。米国でも近年、フレキシブルパッケージ需要が急速に増えており、背景にはこうした包装材の減量化があるに違いない。
一方で、リジットパッケージに比べて使い勝手の悪さは否めず、パッケージの設計・開発ではエコロジーとユーザービリティの両立が求められている。この点では、欧州マーケットも含め日本より10年近く遅れた後追い需要といえる。それだけに、日本のパッケージング技術が生かされるところだが、当の本人(日本の包装企業)たちが自覚していない節がある。
例えばアマゾンでは、クラムシェルパック・パッケージに入ったハサミを購入した顧客から、「開封するのに、別のハサミが必要になった」といった嫌みとも言える苦情も複数寄せられているようである。同社では、梱包のムダを省いて簡単に開封できる「フラストレーション・フリー・パッケージ」(FFP)を、2008年から導入している。
当初は、マテル(玩具メーカー)やマイクロソフトなどの19商品が対象だったのが2011年には8万点までに拡大しており、年内にも約1200万点がFFPで出荷される見通しである。2012年には、少なくとも3倍に引き上げることを目指しており、顧客のパッケージ評価が悪いメーカーには改善を要求するとともに、その推進のために技術者を派遣している。
ウォルマートは、2013年までに包装材の総量を2008年比で5%減らす計画出、それにより年間約34億ドルの経費節減になる見込みだ。同社では、仕入商品の決定の上で、パッケージ削減努力を評価する「持続可能パッケージング・スコアカード」などを導入している。また革新的なパッケージ開発を推進している。
最近のデザインコンテストでは、ヒューレット・パッカード(HP)が開発した再生材料による、ノート型パソコンの梱包用のメッセンジャーバッグが最優秀賞を受賞している。米国の環境保護庁によれば、埋め立て地に送られる一般ごみの3分の1が包装・容器であり毎年、1人当たり800ポンド(約360kg)超の包装ごみを生み出している計算となる。