凸版印刷:レトルトなどに展開可能なハイバリア性能を実現
2011.12.16
凸版印刷は、透明ハイバリアフィルム「GLフィルム」シリーズに、透明フィルムでは世界一のレトルト殺菌後のバリア性を持つ新製品「GL-RD」を追加した。透明蒸着フィルムでは困難とされていた、アルミ箔に匹敵するレトルト殺菌後の酸素バリア性および水蒸気バリア(水分蒸散バリア)性を、同社従来比で約2倍の性能を実現したものだ。
同社ではアルミ箔を使用した商品や、アルミ箔に匹敵する高いバリア性を必要としていたレトルトパウチ食品に向けなどに、2011年12月中旬から本格的な販売を開始する。透明ハイバリアフィルムは、食品包材のほか、輸液など医療医薬品の包材、さらには太陽電池バックシートをはじめとした産業資材などへと用途が拡がっている。今後、世界的な需要の拡大が期待されており、2015年度には約6000億円の拡大を見込んでいる。
レトルト食品など長期保存を必要とする食品包材には、内容物の品質保持のために酸素や水蒸気の透過を遮断する機能が必要で、一般的にアルミ箔が多く使用されている。しかし、環境意識の高まりや電子レンジ対応商品の開発、品質保証のための金属探知機利用の需要増などに伴い、非金属素材でアルミ箔同等のバリア性能を持つバリアフィルムへのニーズが高まっている。
従来のGLフィルムも、軟包装材料の中で世界最高水準の酸素・水蒸気バリア性を実現し、アルミ箔に次ぐバリアフィルムとして数多くのレトルト食品のパッケージにも採用されてきたが、これまでは賞味期限をアルミ箔同等にすることは困難だった。同製品は独自の蒸着加工技術により、蒸着膜の性能低下の抑止に成功し、レトルト後の耐熱や強密着などのレトルト適性に優れた従来品と比較して、約2倍の酸素バリア・水蒸気バリア(水分蒸散バリア)性能を実現している。
同社では、レトルトパウチ食品を取り扱う食品会社はもちろん、高温多湿下での耐久性が求められる医療医薬分野や産業資材分野にも展開していく考えである。拡大する透明バリアフィルム市場に対し、よりバリア性・長期信頼性に優れた製品の開発を推進する。日本のみならず北米や欧州、アジアなどのグローバル市場に向けて販売を強化し、透明ハイバリアフィルム事業で2015年度には売上500億円を目指している。