ユニチカ:バイオマス素材80%以上配合の射出成形用樹脂
2012.01.30
ユニチカは、植物由来のポリ乳酸を原料としたバイオマス素材「テラマック」の比率を約80%以上に高め、耐衝撃性と耐熱性をABS樹脂レベルに向上させた耐衝撃性射出成形用樹脂を開発した。耐衝撃性射出成形用樹脂は、全組成中に配合される植物由来のポリ乳酸比率が80〜90%と高く、ABS樹脂と同等の耐衝撃性と耐熱性を達成した独自のバイオマスプラスチックである。
地球温暖化対策や枯渇資源の節約に貢献できる環境配慮型樹脂をコンセプトに、これまでに培ってきたポリ乳酸結晶化促進技術や加水分解抑制技術に加え、独自のコンパウンド技術などの組み合わせにより実現したものだ。これにより地球環境への貢献とともに、ABS樹脂に求められる耐衝撃性を要する用途への展開を図りたい考えである。
植物由来のポリ乳酸比率が80%以上と極めて高いことで、石油資源の枯渇問題や地球温暖化防止への貢献が期待できる。ポリ乳酸は、汎用ABSとの比較でコンパウンドの樹脂製造から製品の焼却までのライフサイクルで発生するCO2排出量を約70%削減できるほか、枯渇資源の消費量を約70%削減することができる。
ポリ乳酸樹脂のシャルピー衝撃強度は2kJ/m2程度であるのに対して、今回開発した「テラマック」耐衝撃性射出成形用樹脂のTE-8005Mは23kJ/m2、TE-8005MT9は11kJ/m2とABS樹脂と同等の耐衝撃性を持ち、また耐熱性も荷重たわみ温度(0.45MPa)で100℃以上を保持し、こちらもABS樹脂と同等レベルを達成している。
同社は、ポリ乳酸を主成分とする環境低負荷のバイオマス素材「テラマック」を、フィルムやシート、繊維、スパンボンド等で幅広く展開する意向である。今回開発した「テラマック」耐衝撃性射出成形用樹脂は、ポリ乳酸の耐衝撃性や耐熱性を大幅に向上することができたことから、OA機器、IT機器、電気部品への筐体や自動車内装部品への展開を図る。
現状の価格は汎用ABSの2〜3倍だが、用途拡大での量産化により汎用ABS同等の価格を目指し、将来的には「テラマック」事業の最も重要な柱の一つになると考えている。まずは2年後(25年度)に1億円の販売目標を掲げ、5年後(28年度)には5億円にしたい考えである。
(※)ポリ乳酸には、NatureWorks社の「ingeo」を使用。