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花王:樹脂量の削減と植物由来PEを使用した詰替用パウチ

2012.01.25

n_20120125_03.jpg 花王は、環境負荷低減への取り組みとして、包装容器由来のCO2削減を推進している。その一環としてプラスチック量を削減し、植物由来PEを使用したつめかえ用パウチを開発した。薄肉化によりプラスチック量を削減し、全重量に対して約10%を植物由来の素材(PE)に置き換えることで、従来品と比較してCO2排出量を約12%削減することができる。2012年2月から、ヘアケア製品の主要ブランド「メリット」に詰替用パウチとして採用し今後、他の商品への応用検討を進めていく考えである。
 同社は1991年に、台所用洗剤「モア」で詰替用パウチを発売して以来、現在では100アイテムを超える詰替用・付替用商品があり、その転換率は80%に達している。さらなる普及と環境負荷低減のために、詰替用パウチの薄肉化とユニバーサルデザインへの取り組みを進めている。2009年に「環境宣言」で掲げた「CO2削減の中期目標」達成に向けた活動の1つとして、まず全商品の容器包装の見直し、その材料の削減と素材の置き換えをすることで、2012年度までに包装容器由来のCO2の10%削減(2008年度比)に取り組んでいる。
 具体的には、「容器のプラスチック量の削減」「外包装のプラスチック量削減」「プラスチック量の少ない容器形態の選択」「詰替え・付替え品の拡充」の4つの方法で、できるかぎり材料使用量の大きなブランドから進めていく考えだ。今回は、詰替用パウチのCO2排出量を削減することを目的に、プラスチック量をさらに削減し、植物由来PEを使用したパックの開発検討を行ったものだ。
 詰替用パックは、0.1〜0.2mm程度の複合フィルムでできている。プラスチック量削減のためにフィルムを薄くすると、靭性(ねばり強さ、亀裂のできにくさ)の低下が生じ、落下時や輸送時の耐衝撃性能や店頭の棚での自立性能の劣化などの課題が生じる。
 また自立性能を重視して単純に剛性(外力による変形に抵抗する性質)を上げるとフィルムがもろくなり、耐衝撃性能が劣化するなど、最適化が必要であった。そこで、様々なプラスチックの組み合わせを検討し、剛性を高めながら靭性を失わない組成を得ることに成功したもの。その結果、薄肉化によりプラスチック量削減を行ないながら、強度や自立性など、従来のものとほぼ同等の特性を有する詰替用パウチの開発に成功したものである。
 植物由来PEは、計画的に栽培されているさとうきびから砂糖を製造したあとに残る、廃糖蜜を発酵して得られる再生可能なエタノールを原料として製造され、焼却時に排出するCO2がゼロカウントとなる環境影響の少ないプラスチックとして注目されている。詰替用パウチはPEをベースとした複合フィルムで、強度や柔軟性、遮蔽性など容器としての諸条件をクリアする必要があった。植物由来PEの様々なグレードについて評価を行ない、最適なものを選択したものだ。この2つの技術の組み合わせにより、従来品に比べてCO2排出量を約12%削減できる詰替用パウチを開発し、まずは「メリット」に採用する。