双日:中国黒龍江省でバイオエタノール実証事業
2012.02.21
双日は、日立造船と中国黒龍江省の省都ハルピン市から北北西に300kmの克山国有農場で、中国最大の国有農場組織である黒龍江省農墾総局傘下の馬鈴薯加工企業である北大荒馬鈴薯集団有限公司と共同で、馬鈴薯でんぷん残渣(搾り粕)を原料としたバイオエタノール製造実証事業を開始した。
両社が提案する「馬鈴薯澱粉残渣からのバイオエタノール製造実証事業」は、2011年12月に独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「国際エネルギー消費効率化等技術普及協力事業」に採択されたものだ。これを受け、NEDOの委託事業としてバイオエタノール製造実証プラントを建設、技術の検証を行うものである。
同事業では、国内最大級の公的研究機関である独立行政法人産業技術総合研究所が保有する馬鈴薯澱粉残渣の糖化・発酵技術と、日立造船の総合プラントエンジニアリング能力及び膜分離によるエタノール化無水技術を活用して燃料用エタノールを生産する。また同社総合研究所に蓄積されたバイオマスに関する総合的な知識も活用して実証事業を推進する。
実証期間は2014年3月までの予定で、実証実験プラントで燃料用エタノールと発酵残渣飼料(DDG)を製造し、事業化に向けた採算性を検証する。生産された燃料用エタノールはガソリンと混合されてE10(ガソリンにエタノールを10%添加したバイオエタノールガソリン)として自動車用燃料となる。
中国は、米国・ブラジルに次ぐ世界第3位のバイオエタノール生産国で、2020年までにE10を中国全土に普及させる方針を立てている。すでに黒龍江省・吉林省・遼寧省・河南省・安徽省等でE10の使用を義務付けており、中国政府は食料保全の観点から、トウモロコシや小麦等の穀物系原料を避け、キャッサバ・スウィートソルガム等非食料および農業有機廃棄物等を利用したエネルギー植物を原料とするバイオ燃料生産を目指している。
同社は、食料資源を圧迫せずかつ環境負荷が小さい方式によるバイオエタノール製造に取り組んでおり、ブラジルで投資しているバイオエタノール生産事業者は、サトウキビ由来のバイオエタノール生産量では世界でトップクラスである。また日立造船は、バイオエタノールやバイオディーゼルおよび下水汚泥燃料化などのバイオマス事業に注力しており、2009年には北海道バイオエタノール株式会社向けにHitz型ゼオライト脱水膜エレメントを用いた国内最大規模のバイオエタノールの膜脱水システムを納入している。