凸版印刷:国内初、18L缶とBIBに対応した充填機
2012.06.20
凸版印刷は、18l缶とバッグ・イン・ボックス(BIB)に対応したハイブリッド型高速ロータリー充填機「RF充填機」を開発し、2012年6月下旬から販売を開始する。業務用大容量製品で主流な18L缶と、BIBへの充填を1台で可能にした、国内で初めてのハイブリッド型充填機である。
具体的には、18L缶と同一の機械でBIBの充填を可能にするため、内袋を仮容器にセットした状態で充填できる仕組みを開発したものだ。これにより、充填速度が従来の3倍に向上する。新規でのフル導入はもちろん、既存の18L缶充填機に設備ユニットを追加する形でのカスタム導入も可能である。
そのため、現在は生産性の面から18L缶を使用しているものの、環境配慮や容器コストの優位性からBIBへの代替を検討している企業に対して、導入負荷を軽減する。
業務用の大容量製品の充填容器としては、物質的強度やバリア性、遮光性の観点から18L缶が主流となっており、その市場規模は2011年で約620億円である。しかし、鋼材価格の上昇による容器価格の上昇、充填前の容器保管コストがかかるといった問題への対応など、環境配慮の観点から廃棄物の総量削減や輸送効率の向上が求められている。
こうした課題解決の手段として、BIBの利用が注目されている。外装段ボールと内袋が簡単に分離できるため、充填前の容積を18L缶の約40%に削減できる。そのため、輸送効率が向上し、倉庫スペースも削減できる。また環境配慮にとどまらず、注ぎ性の向上やアセプティック(滅菌)充填への対応による内容物の品質向上も期待される。
しかし、BIBは18L缶と比較すると充填速度が遅く、専用の充填機が必要であった。そこで、同社が開発したのが18L缶とBIBの両方に対応したハイブリッド型高速ロータリー充填機である。充填速度を大きく改善し、18L缶と同等の生産性を実現している。BIBへの充填速度が従来の約3倍に高速化され、これまでの直列仕様を、内袋を仮容器にセットする仕組みの開発で、ロータリー仕様にしたものだ。
従来のBIB専用充填機の生産能力は1分あたり最高10袋だったが、18L缶充填機の仕組みを応用することにより、1分あたり20〜35袋の生産が可能になった(1台当たり)。また既存の18L缶専用充填機への設備ユニットを追加することで、BIBとの兼用化が可能となる。それぞれの専用機を設置する場合と比較して設置スペースを40%削減し、限られたスペースでの効率的な生産が可能となった。
同社では今後、CVSなどの店内調理の増加などにより好調な食用油などの業務用調味料業界を中心に、大容量を扱う食品業界やトイレタリー業界、工業製品業界などに向けて展開していく考えである。2015年度にその関連受注を含め15億円の売上を目指す。