大日本印刷:包装事業のグローバル展開の強化
2012.08.28
大日本印刷は、包装事業のさらなる競争力の強化と収益力の改善のために、事業構造を抜本的に刷新する。それで東南アジアを中心にグローバル展開を強化するとともに、国内生産体制の再編を実施する意向である。
グローバル展開では2012年7月、建設に着工したベトナム工場(2013年4月竣工)に続き、インドネシア工場の拡張を実施するなど、東南アジアを中心に海外の製造拠点の増強を進めていく。一方、国内では、全国に展開する包装事業の製造部門を再編し、最適なBCP体制の推進とコスト構造の改革により、包装事業の競争力の強化を図る考えである。
包装事業での東南アジアへのグローバル展開は、1972年にインドネシアのジャカルタに現地企業との合弁会社として大日本ギタカルヤ・プリンティング(現在:DNPインドネシア)を設立し、現地の需要に向けにパッケージの製造・販売を開始している。DNPインドネシアは、日本で培ってきたパッケージ製造の技術・ノウハウを導入し、コスト競争力のある高品質な製品を供給し、東南アジアを代表するパッケージメーカーの地位を確立している。
DNPインドネシアの工場の拡張(投資額約30億円)は、現在進行中のカラワン工場の増強が2013年1月に完了する予定で、これにより軟包装の生産能力は約20%アップする。また同工業団地内に新工場用の土地を取得しており、30億円規模の投資により2013年に着工、2015年の稼働予定である。これにより、インドネシアでの製造拠点は、ジャカルタ工場、カラワン第1工場、カラワン第2工場の3拠点体制となる。
2012年6月には、東南アジアの拠点へのリスク管理などのマネジメント力を強化するとともに、事業拡大を進めるため全社的な事業統括会社をシンガポールに設立し、この地域の包装事業拡大の支援にも努めていく。今後も、需要の拡大に合わせて、インドネシア及びベトナム工場の設備増強を進めるとともに、他のエリアへの進出についても検討していく計画である。
東南アジアなどのグローバル展開の強化により、包装分野の海外売り上げを、現状の約230億円から2015年には約150%まで拡大させ、東南アジアでのパッケージのリーダーカンパニーを目指していく考えである。
国内の営業体制は、関東、関西エリアはDNPの包装事業部が、そして北海道、東北、中部、西日本の地域は4つの地域事業会社が担当することで、全国の顧客の様々なニーズに応えていく。生産体制では、包装事業部が管轄する5つのグループ会社と各地域事業会社の中に、それぞれのエリアや品目ごとの生産管理・技術・製造のスタッフ並びに製造設備を保有している。
今回、包装事業の効率化と競争力の強化を図ると同時に、最適なBCP体制の構築を目指して2012年10月から、包装事業部直轄のグループ会社5社のうちDNPテクノパックを存続会社として残る4社を吸収合併する。さらに、地域事業会社の包装部門は、関係する製造・生産管理・技術部門を再編して、DNPテクノパックに統合し、全国を一元的に管理する生産体制とするものだ。
今後、固定費の削減や生産集約などによる効率改善などコスト構造の見直しを図るため、工場の統廃合も視野に効率経営を進めていく考えである。