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ニュースフラッシュ

三菱樹脂:世界最長クラスのカーボンロールを開発

2013.01.28

n_20130128_03.jpg 三菱樹脂は、ピッチ系炭素繊維「ダイアリード」を使用し、世界最長クラス(9.2m)のクロムメッキカーボンロールの開発に成功した。毎分2,000mの高速回転での振れ(動フレ)が、0.08mm以下という優れた安定回転性能を発揮する。それにより、フィルムや製紙メーカーなどのロールユーザーでは生産効率を大幅に改善することができるものだ。
 産業用ロールは、フィルムや紙や不織布の製造ライン(ワインダー・スリッター・コーター・ラミネーター)などで使用されている。ピッチ系炭素繊維のCFRP(炭素繊維強化プラスチック)を用いたカーボンロールは比重がアルミの約3分の2で、鉄以上の剛性を有する。
 そのため、軽量化や小径化、たわみの低減、慣性モーメントの低減、危険回転数アップ、振動抑制という優れた効果を発揮するものである。同社は、日本有数のロール専門メーカーのサンレイ工機と共同で、1990年にカーボンロール事業を開始し、革新的な設計・製造・解析技術を導入しながら、より高性能なカーボンロールの開発を続けてきた。
 今回、開発したクロムメッキカーボンロールは長さ9.2mで外径が350mmと非常に小径であり、総重量を約400kgに抑えている。回転速度が毎分2,000mの高速回転時でも、ロールの振れ(動フレ)が0.08mm以下という優れた安定回転性能を発揮する。
 同じスピードで安定回転が可能なロールを鉄で製造した場合、通常はその外径は約1mとなり、総重量は4トン以上(今般のカーボンロールの10倍)となる。円筒状のCFRPの設計・製造技術と、同社とサンレイ工機社が共同で特許を保有するカーボンロールの表面金属化技術(クラッド)、バランス修正技術によるものだ。
 さらに、両社が長年培ってきたノウハウにより、このような長尺、軽量かつ安定高速回転が可能なロールを開発することができものだ。同社での過去最長のクロムメッキカーボンロールは長さ6.5mだったが、それを大きく上回る世界最長クラスのクロムメッキカーボンロールの開発に成功したものである。
 このロールを使用することで、ユーザーはロールの回転に必要となる消費電力の大幅な削減を実現することができる。フィルムや製紙等の製造で、生産ラインの広幅化は生産効率の大幅な改善につながるため、今後も長尺カーボンロールの需要は伸長することが期待される。
 同社ではこれからも、ピッチ系炭素繊維及びカーボンロールのトップメーカーとして、顧客の生産効率改善につながる世界最高レベルの高性能カーボンロールの開発に注力する意向である。
 
(写真:9.2mのクロムめっきカーボンロール、毎分2000mの高速回転の実証運転風景)