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ニュースフラッシュ

三菱樹脂:業界初の超高弾性ピッチ系炭素繊維

2013.02.01

n_20130201_04.jpg 三菱樹脂は、新グレード「ダイアリードK13916」を開発し、2013年2月1日から販売を開始する。ピッチ系炭素繊維として、業界初となる繊維1束あたり1万6000本(16K)のフィラメント数を実現したものだ。ピッチ系炭素繊維の中でも超高弾性グレードと位置づけられる引張弾性率760GPaの製品である。
 ピッチ系炭素繊維としても高い剛性(引張弾性率760GPa)と優れた強度(引張強度3,200MPa)を併せ持ち、ユーザーでは2次加工も含めたトータルコストを大幅に低減することが可能となる。炭素繊維には、ポリアクリロニトリル(PAN)系とピッチ系の 2種類がある。
 ピッチ系炭素繊維は剛性(固さ)や熱伝導性に優れ、かつ樹脂との複合化によって熱膨張率がほぼゼロの製品を生産することができるなどの特徴を持つ。カーボンロールや製造装置部材、自動車部材など、国内外を問わず広範な用途で使用されており、その高い剛性がゆえに2次加工でのハンドリングが難しいことと価格の高さが、さらなる市場拡大での課題であった。
 「K13916」は、鉄の3倍以上という優れた弾性率(剛性)に加え、新たな紡糸技術の確立により、繊維1束のフィラメント数を業界で初めて1万6000本(16K)まで増加(太物化)させた。かつ製造プロセスの最適化によって優れた強度(引張強度3,200MPa)も実現している。
 太物化と強度の向上により炭素繊維のハンドリング性が向上し、プリプレグ(厚物・薄物)や板材などへの2次加工が容易となるため、加工を含めた顧客のトータルコストを大幅に低減することができる。例えばカーボンロールを製造する場合、より薄くて軽い製品を従来の約2割抑えたコスト(同社品比)で製造することも可能である。
 また板材(CFRPプレート)に加工した場合も、鉄の約2倍の剛性を有する板材を安価に供給することが可能となるため、鉄やアルミなどの金属を補強する用途(工作機械部材や鉄筋・鉄骨建築物の補強材など)にも使用範囲が拡がる。
 従来の超高弾性・高強度グレードは価格が高いため、人工衛星などのハイエンド用途が中心だったが、新グレードでは超高弾性・高強度のピッチ系炭素繊維の用途範囲を一般産業用途まで大きく拡げることが可能となる。
 同社は、この剛性と強度、そして2次加工性を兼ね備えた新グレードを、先般発売した「ダイアリード K13312」とともに、ピッチ系炭素繊維「ダイアリード」の次期主力グレードとして位置づける。同では今後も、三菱ケミカルホールディングスグループの三菱レイヨン社とも協奏しながら、KAITEKIの実現を目指して取り組む意向である。