《編集部発》自然の力を生かした包装開発
2013.03.11
「黒蔵(くろぞう)」(共同紙工の活性炭コーティング紙袋)と出会ったのは、2012年10月に開催(東京ビッグサイト)された包装展「TOKYO PACK」であった。パッケージデザインでは黒色基調の傾向を感じており、ついつい"黒色"に魅かれて目に止まったものだ。
とはいえ、墨色の黒さは一味違う。それに加えて、包装材サプライヤーには珍しくデザインセンスの良さが感じられた。「黒蔵」というネーミングも、ロゴも、デザインもなかなかではなかろうか。それは、同社のカタログにも表れていた。
J)「何ですか、『黒蔵」って?」
K)「内面に活性炭をコーティングした袋です」
J)「どんな効果があるんですか?」
K)「備長炭などとは違い、活性炭に微細孔が多く、はっきりとした脱臭効果があります」
元来、同社は農薬用の臭いが外にもれない紙袋をつくっており、もれないということは逆に籠るわけで、開封時には一気に臭いが外へ放出されることになる。その臭いから農家の人(開封者)を守るために開発したのが、脱臭効果のあるこの「黒蔵」である。
もちろん外にはもれず、開封されるまで中に十分臭いを袋が吸着するというものだ。あの「3・11」以降には、汚物やし尿などの処理といった使い道も浮上しているが、日常的な用途として靴箱の代替などが考えられている。脱臭効果だけに固執せず、例えば遮光や遠赤外線効果などはないのか。
それらの効果によっては、高級なワインや日本酒の袋として、また花卉の鮮度保持袋としてなど想像は膨らむ。未知なる活性炭の効果を掘り起こせば、例えば電子レンジ調理用包材として新たな機能を発揮できないか、などと考えている。何事も自然に敵うものはなく、自然には多くの開発ヒントが秘されている。