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ニュースフラッシュ

《編集部発》注目される水溶性の包装材

2013.03.18

n_20130318_03.jpg 「オブラート」を知っているだろうか。ある医薬関係の方に聞いたのだが、オブラートの正しい使い方はコップにはった水に浮かべ、その上に粉薬をのせる。すると、薬は比重でオブラートに包まれるようにして沈んでいくわけだが、それをコップの水ごと呑むというものだ。
 「なるほど」と思うとともに、今まで呑みづらかった理由がようやく判明した。いうまでもなくオブラートは水溶性で、ほっとけばそのまま溶けるが、正しくは胃の中で溶けて薬効を発揮するものだ。ただ、この水溶性の包装材が、日本ではなかなか定着しない。なぜだろうか。
 そう言えば最近、よくTVコマーシャルされるP&Gの食洗機専用洗剤が、その水溶性の包装材を利用したものである。液体と粉体の2種の洗剤が器用に1つの包装材に分けられている。とは言え、この原形は海外であるから、いわばP&Gの仕掛けの1つであろう。
 日本にも同様な仕様の洗濯用洗剤があった。水溶性の包材が使用されていたか、どうかはにわかに思い出せないが、10年ほど前にカードタイプの洗濯用洗剤を花王が発売したものだ。早々に終売とはなったが、技術としてはすばらしいものだった。こちらも、今では懐かしいカセットテープの磁器蒸着の技術を応用したものだ。
 時期尚早だったのか、なぜか定着しない。とは言え、農薬分野では必要に迫られてか。水で溶解する薬剤に水溶性包装材「エコピール」(共同紙工)が使用されている。手に直接触れると危険ということもあるのだろうか、水溶性フィルムで包装された外面を、剥離できるフィルムでラミされたものだ。使用時に、上面のラミフィルムを剥がして水に投入するものである。
 最近では、赤ちゃん用の粉ミルクがブッロク状に成形されたものなどがみられるが、溶解性を考えれば粉の方がよいはずである。だが、それ以上に1回ごとの計量の手間や、投入しやすさ、携帯性などが評価されているということだ。その点では、液体や紛体のミルクをオブラートのような水溶性フィルムで包むメリットは大きい。
 つまり食品や医薬品分野で、水溶性の包装材が利用される可能性があるに違いない。ヒトとモノのグローバリゼーションが進む中で、多様化するニーズでの国内外格差というものはなくなりつつある。その意味で、海外で漸次使用が広がる水溶性の包装材が、日本でも広がらないとは言えない。「故るきを温ねて、新しきを知る」で、再び水溶性の包装材に注目が集まる日は近い。