味の素:インドネシアに液体調味料専用工場を新設
2013.04.01
味の素は、子会社のインドネシア味の素社(P. T. Ajinomoto Indonesia)で約9億円を投じ、インドネシア・ジャワ島西部カラワン工業団地の食品工場(カラワン工場)内に液体調味料「SAORIR」(サオリ)の専用工場を新設する。これにより生産能力は現在の2倍強となり、急成長を続けているインドネシアの液体調味料市場に対応する。2013年2月に着工し、2014年6月の完工予定である。
現在、「SAORIR」はインドネシア国内の委託工場とジャワ島東部のモジョケルト工場で生産しているが、今後に見込まれる需要増に備えてカラワン工場敷地内に新工場を建設するものだ。これにより、委託工場およびモジョケルト工場生産分をカラワン工場に集約し、効率よく安定的に供給できる生産体制を構築する。
カラワン工場内には、すでに約35億円を投じて2012年12月に稼働した風味調味料「Masako(R)」の工場があり、それに続く増産対応となる。販売構成比の5割を占めるインドネシア西部への供給拠点として、また中東・北アフリカなどのイスラム圏への供給基地として同工場を位置付ける。
インドネシア経済は人口増加(約2.4億人、2012年、IMF推計)と内需拡大により堅調に拡大しており、同社は1969年から調味料などを製造・販売し、インドネシアでの事業展開は40年以上の歴史がある。同社グループでの主力地域であるアジアの中心的役割を果たしている。
インドネシアの液体調味料市場は、経済発展に伴う生活水準の向上により急成長を続けており、年間約25万〜30万tで、今後も年率10%程度で伸長すると推定される。その中で、「SAORIR」は「オイスターソース」「テリヤキソース」のカテゴリーに属し、その市場規模は合計約1万tで、年率約20%以上で伸長している。
「SAORIR」は「いつもの料理を新たなオリエンタル・テイストで簡単においしく調理できる」がコンセプトの液体調味料である。2005年の発売以来、現地の生活者から支持され、購入しやすい小袋単位で販売することに加え、現地でよく食べられる空芯菜や豆腐を使ったメニュー訴求も受け入れられている。それにより、年率30%程度で売上を拡大している。現在、「オイスターソース」「テリヤキソース」ともに家庭用の液体調味料としてトップシェアである。
同社の海外液体調味料事業は、海外コンシューマーフーズの売上高1835億円の中ではまだ小さいものの市場自体は非常に大きく、経済成長に伴う簡便性ニーズの高まりで今後さらに拡大していく領域と考えられる。
同社では、2011−13年中期経営計画で"確かなグローバルカンパニー"となるため、海外コンシューマーフーズ事業の強化・伸長を基本方針に掲げており、今回の生産設備の増強により、インドネシアでのさらなる事業拡大を図りたい考えである。
(※)液体調味料とは、醤油などをベースに各種調味料、香辛料等がブレンドされたものであり、炒め物のベースからディッピングソース・"たれ"としてそのまま使用できる簡便性の高い調味料。