日清食品:ケニアで即席麺事業を開始
2013.05.22
日清食品HDは、社会貢献活動のパートナーでの「国立ジョモケニヤッタ農工大学 (Jomo Kenyatta University of Agriculture and Technology)」(JKUAT)と設立した合弁会社 で、ケニア共和国での即席麺事業を開始する。今回の事業は、日本の即席めんメーカーとして初めてのアフリカ進出となるものだ。
即席めんの世界総需要は年々に増加し続けており、2012年には1000億食を突破している。その成長を牽引するのがアフリカ地域を含む新興国であり、所得水準の向上や生活スタイルの変化などを背景に、今後も伸張が期待されている。
同社は、2013年4月30日に発表した「日清食品グループ 中期経営計画2015」で、2015年での約1000億円の海外売上高を目標に掲げている。今回のケニアでの合弁事業も中期経営計画の達成に向けた重要なアクションの1 つとして位置づけられる。
東アフリカに位置するケニアは、人口が約4200万人で1人当たりのGDP (名目)が800USDである。現在、購買力平価(PPP)は1700USDの共和制国家である。また15歳未満の若年層が人口の約45%を占め、今後の人口の増加(2030年までに約5500万人)や急激な経済成長(2030年まで年平均GDP成長率10%を目標)が見込まれている。
ケニア国内では輸入品の即席めんが徐々に浸透しつつあり、他の新興国と同様に消費の活発化に加え、簡便な食事へのニーズが高まっている。そこで、今後も急速な需要拡大が期待されており、同社では同国での即席めんの消費量は5年後に、年間2億食を超えると推定している。
今回の合弁事業は、即席めん市場が確立する前段に早期参入することで、日清食品グループの持つ強みを生かし、マーケットの拡大を図るものである。また同様に、経済成長を続ける周辺国(タンザニア、ウガンダ、ブルンジ、ルワンダ)も有望な市場と見込まれており、ケニアとこれらの4ヵ国で構成される東アフリカ共同体(EAC)5ヵ国(人口計1億3000万人)での即席めんの消費量は5年後に、年間5億食を超えると推定している。
同グループは、世界各国で培ってきた高い技術力とマーケティング力を誇っており、一方でJKUATは、ケニア国内での認知度と信頼度が高いことから、販売面での強みを発揮できるほか、政府との関係を生かした新たな販路の開拓も期待される。
合弁会社は、これら両法人の強みを生かし、同国に根ざした事業を展開していく意向である。事業開始から当面の間は、子会社であるインド日清から製品を輸入販売するが、2014年秋には自社工場を立ち上げ、現地生産を開始する予定である。