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ニュースフラッシュ

「欧州プラスチック産業NEWS」2014年3号

2014.08.29

 ミュンヘンのEMFTフラウンホーファー研究所が開発している資材は、ホイルにインテグレートされたセンサーが機能し、製品の状態を持続的に監視する。賞味期限が過ぎ、あるいは製品が衝撃等で壊れた場合などに、センサーが反応して異常状況を色の変化などによって伝えるものだ。
 2014年7月11日から、化粧品容器に情報の量と内容について新しい規制が設定された。ロゴや会社名、生産国以外に、読みやすく分かりやすいなどの表示が義務付けされたものだ。容器は小さく・コンパクトになる傾向もあり、情報量は制約される。
 そうした背景から、「インターアクティブ・パッケージング」の重要性が高まっている。QRコードをはじめ「拡張現実」(AR)の利用により、顧客はスマホなどの通信技術を使えば、追加情報が簡単に得られるという利点を包装産業も活用している。
 ドイツは、1991年にゴミ分別とリサイクル率を上げるため、「デュアル・システム」を導入し、世界から注目を浴びてきた。消費者が購入価格に含まれる料金を通して、間接的にリサイクルあるいはごみ分別の料金を払う仕組みである。しかしながら、このシステムが2つの理由から限界に達している。
 1)消費者が(容器に分かりやすくするために特定のシンボルが印刷されているにもかかわらず)、ごみ分別が十分になされていないことである。せっかく容器を適切に回収する目的でごみ箱が準備されていても、消費者が容器を違ったごみ箱に入れたり、デュアル・システムに関係していないごみが投入れている。
 2)小売業者の関わり方である。消費者には店舗で買い物をし、不要な容器(段ボール箱、プラスチックなど)を持ち帰らないで、店舗が用意するごみ箱に捨てる権利がある。店舗はそれを分別する義務があるが、経済的な理由から一般ごみとして捨てる傾向が強まりつつある。
 
n_20140829_03.jpg ドイツのKHS社が開発により、PETボットルに直接デジタルで印刷することが可能となった。これによりラベルが不要になり、包装材の減量となる。また、これまではむずかしかった最新情報(例えば、前日のサッカーの試合の結果や、お祝いのメッセージをなど)をリアルタイムにボトルに印刷できる。
 Smurfit Kappaグループ最高執行責任者(COO)、スムルフィット氏が指摘するトレンドとして、Packaging Europe誌に、インタービューが掲載されている。それによれば、包装業界とリテール(小売)業界で重要性が増しているのは、「display-ready packaging」である。つまり、小売店舗で従業員が商品を卸売用ケースから取り出し、店舗陳列するのに棚に1個1個並べることをせず、ケースを開けたまま置く方式である。
 またe-コマースの成長で、逆に包装のデザイン性への要求・期待が高まってきる。注文した製品を自宅等で初めて見たり、触ったりする「ファースト・コンタクト」でのパッケージの魅力的である。それが、次の注文につながる可能性が高めると考えられている。
 欧州共同体では、タバコ販売に関する規制はますます厳しくなり、2016年からは統一したデザインとしてブランドの特徴を出さないようにすることや、予想される疾病に関する情報写真を記載し販売する。最近、イギリスの包装企業の連盟が、それに対して反対運動を起している。
 容器に警告を印刷するのは効果がないことと、タバコ販売する小売業に多大な悪影響があるということだ。イギリスだけでも、規制の実施によって関係する小売業の売上高が5億ポンド程度(855億円に相当)減少すると見込まれている。
 事例としてあげられるのは、オーストラリアで、同様の規制が導入されてタバコ販売は3.4%減少した。イギリスのガス・スタンド営業者団体が規制導入に強く反対の意見も述べなど、BAT社は法規の導入によって包装関連のコストが2億ポンド程度上がると見込んでいる。
 Do-Tech社は、新しい技術を開発してきた。それは、通常の飲み物の缶に、冷却剤が入っており、缶を開けると冷却剤の科学反応によって飲み物の温度が1分で約10度下がる技術である。これにより冷蔵している自動販売機が不要になり、環境保護も配慮できる。
 
プラスチック包装の伸長
 
 2013年に、ドイツでのプラスチック包装は大きく成長している。ドイツプラスチック包装協会の分析では、生産量は2.4%増加し、430万トンに達したとのことだ。売り上げでは3.5%成長し、136億ユーロ(1兆8644億円に相当)になっている。
 今後、生分解性のプラスチック包装のシェアも伸び、TechScie Researchの調べでは、1年間の成長率が12%になると予想されている。特にファースト・フード容器と飲料用ボトルでの成長性が著しいと見込まれている。
(2014年8月6日付けPackaktuell誌、2014年7月30日付けVerpackungsrundschau誌)

 ドイツ機械工業連盟VDMAの統計では、食品機械・包装機械産業が2013年度は生産が約120億ユーロ(1兆7338億円に相当)に達し、生産の85%を100ヶ国以上の国々に輸出した。輸出先のうち、ヨーロッパが44%、アジアが22%、北米が13%のシェアを占めている。
2014年の前半は輸出依存度の高さが明らかになる結果となった。2013年前半に比べて機械受注が8%増加を示したが、国内の受注が3%減少し、外国からの受注が14%増加したのでポジティブな数字となった。
(出典:2014年7月31日付けVerpackungsrundschau誌、2014年5月26日付けit-production誌)
 
 ボッシュ社は2020年までの戦略を公表した。2015年の年度末までに、売上高を12億ユーロ(現時点2054億円に相当)まで増加さえる見込みである。特に成長性の高い分野は薬品と食品包装(機械)である。技術の高いレベルを維持するために、売上の4.5%程度を研究開発に投資する予定である。
 アイルランドの段ボール生産大手・スムルフィツ・カッパ・グループは2014年の前半に39億4700万ユーロ(5407億円に相当)の売上高に達成し、これは2013年前半に比較して約1%の増加である。為替レートの悪影響を差し引いて計算すると5%の成長となる。
 
(※)以上、メッセ・デュセルドルフ・ジャパン発信の「欧州プラスチック産業NEWS/2014年3号」より抜粋)
(※)写真キャプション:PETボトルへの直接印刷(出典:KHSウェブサイト、2014年4月4日付けKHSプレス・リリース、http://www.interpack.de)