三菱樹脂:豪州で植物工場産野菜の生産・販売の法人を設立
2014.10.21
三菱樹脂は2014年7月31日に、オーストラリアに現地法人「KAITEKI Fresh Australia Pty Ltd.」を設立した。植物工場で栽培した安心・安全な野菜を、生産から販売まで行う事業を開始するものである。ビクトリア州に約5,000平方メートルの太陽光利用型植物工場を建設し、2015年春から収穫した葉物野菜を現地の高級スーパー向けに販売する。
オーストラリアは、国土の大半が砂漠に覆われ、度重なる干ばつと深刻な水不足は農業生産の大きな課題となっている。そのような状況の中、2011年3月に三菱ケミカルホールディングスの研究機関である地球快適化インスティテュートと同国ビクトリア州政府が節水型農業研究に関する覚書を締結した。
2013年4月に同州政府ノックスフィールド農業試験場の一部区画(約600平方メートル)に、太陽光利用型植物工場を導入し、実証実験を経て2014年4月から葉物野菜のテスト販売を行ってきた。同植物工場は、三菱樹脂グループの三菱樹脂アグリドリーム社の閉鎖型苗栽培システム「苗テラス」および葉菜類養液栽培システム「ナッパーランド」を組み合わせたものである。
節水かつ安定的に、より安全・安心な無農薬葉物野菜を周年供給することができるものである。栽培したホウレンソウやルッコラなどの葉物野菜が、現地の高級スーパーで販売される露地有機栽培等の高品質野菜と同等の評価を得られたことから事業展開可能と判断したものだ。
2014年7月31日に約10億円を投じて100%出資子会社の「KAITEKI Fresh Australia Pty Ltd.」を設立し、今後大規模な太陽光利用型植物工場を自ら運営し、生産から販売まで一貫した事業を行う。そして2015年春から高級スーパーに向けて販売を開始する。
従来、同社グループは日本と中国で植物工場の栽培システムを販売してきたが、そのシステムを用いた植物工場産野菜の生産販売事業を行い、付加価値の高い無農薬葉物野菜のブランド化とグローバル展開を目指すものである。
なお、同社のオーストラリア植物工場産野菜の販売事業では、同州政府副首相兼州開発担当大臣ピーター・ライアン氏から、同社の節水・無農薬栽培技術と雇用創出効果を高く評価されている。
同州政府農業・食品安全担当大臣のピーター・ウォルシュ氏からは、「ビクトリア州は、安全で高品質な農産物の生産に関して豊かな知見があり、研究者たちはこのKAITEKI Freshの新しい技術が環境に優しく、収穫量を増やすものであることを確信している。また、この技術は野菜生産産業で革命を起こす可能性を秘めており、ビクトリア州連立政府の掲げる2030年までに食糧生産を倍増するという目標に貢献するだろう」とコメントする。
同社では、まずオーストラリアのメルボルンやシドニーなど大都市圏を中心に野菜を販売し、同時にシンガポールやタイなど東南アジアの新興国で同事業展開を進めていく考えである。安全安心かつ高品質な野菜を提供する次世代アグリビジネスの普及に努め、三菱ケミカルホールディングスグループが提唱するKAITEKI社会の実現を目指す。