大日本印刷:不快臭を吸着するフィルム包材
2015.09.07
大日本印刷は、各種有機化合物から発生する不快な臭気を持つガス(アウトガス)のうち、アルデヒド系やケトン系の臭気を吸着する「におい吸着包材(アルデヒド・ケトン用)」を開発した。医薬品や医療器具、産業資材、化学薬品などの包材向けに2015年9月から量産を開始する。
アルデヒドやケトンなどの有機化合物を含む医薬品は、製造後の時間経過とともにアウトガスを放出する。そのため服薬時にパッケージ内に充満した臭いで患者が不快を感じることがあった。
また医療器具のメスや作業着をフィルム袋に入れて電子線などで滅菌処理すると、照射されたフィルムが臭気成分を発生させることもある。こうした課題に対し、特定の臭いのアウトガスだけを吸着する材料をフィルムに添加して不快な臭いを吸着する包材を開発したものだ。
医薬品を包装して24時間後には、臭いの成分となるアウトガスがほぼ100%フィルムに吸着され、無臭状態になる。ゆえに開封時の臭いによる不快感を軽減でき、一度吸着した臭気成分は再放出されないため、継続的に効果を得ることができる。
また袋に消臭剤を同封する必要もなくなるため、消臭剤の誤飲の恐れがなくなる。アルデヒド系やケトン系の臭気のほか、滅菌処理臭や樹脂分解臭などの吸着にも効果がある。同社では今後、主に医薬品や医療器具、産業資材、化学薬品などの包材として販売し、2019年度までに5億円の売上を目指すとしている。