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ニュースフラッシュ

カゴメ:NECと共同で先端トマト栽培技術開発

2015.11.12

 カゴメは、2015年3月から日本電気(NEC)と共同でビッグデータを活用した最先端の加工用トマト栽培技術の開発に着手している。現地子会社のポルトガルの試験圃場で、NECと共同でビッグデータ分析技術を活用した検証を開始したものである。さらに同技術の検証を進める上で、2015年10月からは現地子会社のあるオーストラリアでも開始している。
 トマトは世界で1億4000万トンと最も消費されている野菜である。内訳では、生食用トマトが1億トン、加工用トマトが4,000万トンとなる。今後も世界的な人口増に伴い需要が拡大し、加工用トマトでは2021年にさらに1000万トンが必要になると予想される。
 一方で、このような将来のトマトの需要増に対応するには、現在の世界の供給体制では難しい。そのため同社では、新たな農業技術開発による既存産地での単収(面積あたりの収穫量)アップや、主要産地ではなかった国での新たなトマト産地育成などに取り組んでいる。
新たな農業技術開発の取り組みのなかで、より効率的な加工用トマト栽培の実践に向けて農業分野でのICT(情報通信技術)の活用に着目している。これは、経験に頼ることが多い現場の農業に、科学的検証に基づいて多くの人が実践できる効率的な農業技術を普及することである。
 また最低限の資源投入(水、肥料など)による最大限の収穫量と品質を達成し、農業の高付加価値化と環境にやさしい農業の実践を目指す考えである。具体的には、同圃場に設置した気象・土壌などの各種センサや人工衛星・ドローンなどから得られるデータと、灌漑・施肥などの営農環境から得られるデータを活用する。
 これによりトマトの生育状況や気象条件に応じた、水・肥料・農薬などの使用量の最適化と収穫量の最大化を検証するものだ。2015年夏期シーズンを通じ、同技術の検証を実施してきた結果、次の成果を確認することができた。
 
1)畑での水分・窒素ストレスを空間的に見える化し、圃場間で収穫量の差が生じる原因を分析
2)畑ごとの最適な栽培方法の導出が可能である
3)収穫の1か月前からでも、収穫量や収穫適期を正確に予測できる
 
 2015年夏期シーズンで、試験圃場での1ヘクタール当たりの単収は146トンとなった。これはポルトガル平均の約1.5倍で、近隣の農地との比較でも20%程度の単収増にあたる。NECのビッグデータ分析技術を活用した解析で、こうした高い収穫量が「なぜ実現できたのか?」を明らかにすることもできた。
 同社は1899年の創業以来、「安心・安全」を第1の提供価値としてきた。「畑?おはしの先まで」と、種子開発から販売にいたる全てのバリューチェーンに、自らが積極的に携わることで価値をより強固なものにしていきたいと考えている。なかでも「畑」は基本となる領域で、今回のNECとの取り組むは、「畑」での大きな飛躍を可能にするものだと考えている。