ダウ・デュポン:3つの独立した上場企業設立
2015.12.23
ザ・ダウ・ケミカル・カンパニーは、デュポン社と対等合併に合意し、ダウ・デュポン社(新会社名)となる。統合後は、節税効果のある事業分割により、3つの独立した上場企業を設立する。分割は合併完了後に、関連当局および取締役会の承認を経たあと、18カ月?24カ月の間に可能な限り早期に実施される予定である。
発表時点での時価総額は約1300億ドルと見込まれ、取引規定ではダウの株主は1株当たり新会社の1株を受け取り、デュポンの株主は1株当たり1.282株を受け取ることとなる。優先株を除き両社の株主は希釈後約50%ずつの株式を取得することとなる。
合併完了後24ヵ月以内に、シナジー効果が100%発揮されれば、約30億ドルのコスト削減効果が見込まれる。あわせて10億ドルの成長効果が見込まれる。ダウ会長兼CEOのリバリス氏はダウ・デュポン取締役執行役会長に就任し、デュポン会長兼CEOのブリーン氏はCEOへの就任予定である。
両氏はともに取締役会直属となり、最高財務責任者(CFO)が任命された際にはブリーン氏の直属となる。ダウ・デュポンの取締役会は、現在8人ずつのダウと、デュポンの取締役を含む16名で構成される予定である。取締役の氏名は合併が完了する前後に発表され、3社の分割が完了する前にそれぞれの委員会が3つの新会社の指導者を任命する。
合併完了後、ダウ・デュポン本社はミシガン州ミッドランドおよびデラウエア州ウィルミントンの2ヵ所体制となる。合併は、関連当局およびダウ、デュポンの株主承認をはじめとする諸条件の充足後、2016年下半期での完了が見込まれている。
今回の対等合弁について、ダウの会長兼CEOアンドリュー・リバリス氏とデュポンの会長兼CEOエドワード・ブリーン氏は次のようにコメントする。
リバリス氏は、「化学業界の流れを変えるもので、われわれが10年以上目指してきたビジョンの集大成ともいえる。複雑化した課題や機会など、この10年、業界全体は構造的な変化に直面してきた。企業は、先見性や敏捷性そして実行への注力が求められており、この合併取引は、ダウが継続してきた改革を最大限に推し進めるものである。
重要な価値を創出するとともに、3つの強力な新会社を生み出す。対等な合併により、両社の成長性を大幅に強化するとともに、株主や顧客に向けて価値を創出してまいりたい」と述べる。
またブリーン氏は、「2つの世界的大手を組み合わせることで、強力かつ特化した業界を代表する3つの新事業を生み出すとともに、長期的で持続可能な株主価値を生み出すことができる。事業会社は資本をより効果的に配分し、イノベーション力を効率的に生み出していける。
付加価値のある製品とソリューションを、世界中のより多くの顧客に提供することが可能となる。デュポンにとっては、さらなる高成長や高付加価値を可能にする決定的な飛躍の機会である。対等な合併により、コスト削減と成長の効果が生まれ、短期的にも重大な価値が生み出される。
長期的には、将来的な3社分割により、株主と顧客にとっては大きな付加価値が見込める。また世界的な課題解決のために需要のある製品を提供でき、魅力的な市場分野でのリーダーになることもできる」と述べる。
3つの新会社は、それぞれ世界的規模の農業関連会社と素材科学会社、技術とイノベーションに基づく特殊化学品会社となる。これらは、明確な重点分野、適正な資本構成、明白で魅力的な投資テーマ、スケールメリット、イノベーションへの投資能力を備え、優れたソリューションおよび選択肢の顧客に提供をするものである。
(1)農業関連会社: デュポンとダウの種子および農業製品事業で構成される、世界を代表する農業関連事業。最も総合的で多様な製品ポートフォリオ、短期および中長期的な成長機会を持つ強力な新製品パイプラインを有す。2つの会社が相互に補完することで、世界各国の農家に向けてより幅広いソリューションと選択肢を提供。2014年度の売上高の合計は約190億ドルになる。
(2)素材科学会社: デュポンのパフォーマンス・マテリアル分野とダウのパフォーマンス・プラスチック、パフォーマンス・マテリアルズおよび化学品、インフラストラクチャー・ソリューションズ、コンシューマー・ソリューションズ(ダウ・エレクトロニック・マテリアルズを除く)で構成される、業界大手企業となる。相互補完的な両社の事業構成により、低コストかつイノベーションに立脚した事業を通じ、包装材、輸送・運輸、インフラ、その他市場で豊富かつコスト効果のある製品を提供。2014年度の売上高の合計は約510億ドルになる。
(3)特殊化学品会社:両社の投資傾向や特殊製品への注力を結集した技術力およびイノベーションに基づく独自事業。デュポンの栄養・健康、バイオ関連、安全保護関連、エレクトロニクスおよびコミュニケーションズ、そしてダウ・エレクトロニック・マテリアルズで構成。相互補完的な事業構成により、エレクトロニクス業界に新たなグローバル・リーダーを生み出し、それぞれの事業による効率的な技術開発とイノベーション力による選択的な投資が可能となる。2014年度の売上高の合計は約130億ドル。
(※)それぞれの事業に諮問委員会が設けられ、ブリーン氏が農業関連および特殊化学品委員会を率い、リバリス氏が素材科学委員会を率いる。これら委員会がそれぞれの事業を管轄し、両氏とともに独立した会社の設立に取り組む。