日本包装技術協会:第53回全日本包装技術研究大会
2015.12.01
日本包装技術協会(JPI)は2015年11月19日と20日の両日、福岡の電気ビル共創館で定例となる全日本包装技術研究大会を開催した。今回で53回目となる研究発表大会は輸送包装部会と食品包装部会、環境包装部会、化粧品包装部会、生活者包装部会、包装資材部会、電気機器包装部会、医薬品包装部会の計8部会で66件の発表が行われた。
全国各地から300人を超える会員(公式参加339人)が参加し、熱のこもった全プログラムを盛況裏に終了した。同研究発表大会は、全国のJPI会員を対象に、包装・流通に関する研究の成果や現場での改善や合理化の実績を発表し、産業界の相互の交流を深めることを目的に年1回開催されるもので、関係機関からも高い評価がある。
大会初日の式典では、主催となるJPI西日本支部支部長の安武正文氏から開会挨拶があり、2014年の前回大会(札幌大会)での優秀発表入賞者20人の表彰式が行われた。そのあと、特別講演として国産自動車九州・代表取締役社長の柴崎康男氏が「グローバル競争時代の日産自動車九州のロジスティクス戦略」をテーマに講演した。
初日の午後から2日間にわたり行われた事例発表は、いずれも包装らしい現場の課題と向き合ったすばらしい内容で(発表内容や部会による多少の差はあるものの)、発表のあとには活発な意見や質問が寄せられていた。もちろん、それには各部会のコーディネーターの苦労も一入であろう。
ただ、ある部会のコーディネーターから「会場からの質問がなければ、コーディネーターは"呼び水"として質問をするのですが、こちらから一度も質問せずに時間満了となったのは今年が始めてで、『これぞ研究発表大会!』と感じました」との声を聞いた。
とくに若い世代からの質問があり、これも「とき」であろうか。何かマグマが動いているように感じたのは本誌だけではないようだ。未知なるものには陰も陽もあるが、包装の未来は明るいとの実感を抱いた。そうした発表のなかから今回17件の優秀発表(以下)が選出されたようである。
次回は京都(2016年11月29日、国立京都国際会館)での開催となることからも楽しみである。
【優秀発表一覧】
[輸送包装部会]8件
◎「振動試験機による包装貨物の跳ね上がり再現」あいち産業科学技術総合センター 産業センター環境材料室
◎「実輸送データに基づく、振動試験条件の導出に関する考察」アイデックス開 営業技術部&神戸大学 輸送包装研究室
◎「空港内オペレーションの実際と振動・衝撃加速度データ」エクサーチ&日本貨物航空&森松産業
◎「海上および陸上輸送における設計システムの運用と固縛技術の確立について」山九・技術・開発部 技術開発グループ
◎「"感嘆"開閉BOX『PoN-PA』の開発」TOTO・衛陶設計部 衛陶生産設計グループ
◎「超低温コールドチェーンマネージメント」日立物流・ソリューションエンジエアリング部
◎「小容量用トレー『Sロックトレイ』の開発」レンゴー・中国・四国・九州事業部 ,鳥栖工場
◎「店頭陳列に優れた包装形態『リテールメイト』の開発事例」レンゴー・包装技術部&味の素・食品研究所 包装設計グループ
[食品包装部会]3件
◎「3Dプリンターを活用したプラスチツク製ミル付きキャップの開発」ハウス食品グループ本社・中央研究所 容器包装開発部&吉野工業所・関西製品開発課
◎「取り扱い性を考慮したブルガリアドリンク容器の開発」明治技術開発研究所パッケージングソリューションセンター包装技術G
◎「新規形態包材採用による製造ライン仕様及びライン制御の検討」理研ビタミン・草加工場 生産技術課 生産技術係
[環境包装部会]1件
◎「ワンウェイ用減容ボトルの開発」花王・包装容器開発研究所
[生活者包装部会]3件
◎「触動作センサーを活用した『使いやすい』パッケージ開発について」大日本印刷・包装事業部 企画本部 リサーチ&プランニング戦略室
◎「狙ったところに吐出しやすい『洗口剤用下向きノズルポンプ』の開発」ライオン・包装・容器技術研究所
◎「台所用洗剤『CHARMY Magica』の開発」ライオン・包装・容器技術研究所
[化粧品包装部会]1件
◎「シェア向けアイシャドウ容器・道具の開発」花王・包装容器開発研究所
[医薬品包装部会]1件
◎「乾燥条件下に適用可能な脱酸素包装材料の開発」三菱ガス化学・SC研究開発センター