《年頭所感》川合正矩(日本ロジスティクスシステム協会 副会長)
2015.12.15
2015年は、中東での日本人人質殺害事件やロシア機の爆発事故、そしてパリで発生した同時多発テロなど、世界に大きな衝撃を与えた事件が多発しました。一部過激派組織によるとみられる一連のテロ事件は、欧州での中東地域からの大量の難民受入れ問題にも影を落としています。
一方わが国では、集団的自衛権の限定的な行使容認を含む安全保障関連法が成立し、今後の安全保障政策での歴史的転換の年となりました。また経済分野では、TPP(環太平洋パートナーシップ)協定交渉が大筋合意に至り、AEC(ASEAN経済共同体)の実現により、物資・サービスの貿易自由化・円滑化が、今後一層進展するものと期待されます。
このようななか、グローバルなサプライチェーンの効率化に向けたロジスティクスシステムの高度化は、企業価値の向上のみならず、国民生活を支えるうえでもより重要になってきます。国内物流とグローバル物流とのシームレス化には、国内と海外を隔てることのないロジスティクスマネジメントの統合管理が求められています。
当協会は、需要と供給を同期化させるロジスティクスシステムのあるべき姿を「ロジスティクスコンセプト 2020」として取りまとめており、グローバルサプライチェーンの効率化とともに、ロジスティクスの統合管理の必要性を訴えてきました。引きつづきこのコンセプトの実現に向けて活動を展開します。
とくに2016年より、当協会はロジスティクスに関する課題解決のため、積極的に提言活動を行っていきます。具体的には、「ロジスティクスKPI推進部会」および「ロジスティクスIoT推進部会」を新たに設置し、産学官の連携により議論を深め、将来のあるべき姿を描きつつ、企業間の課題解決のための方策を発信します。
またロジスティクスに関する課題解決に向け、物流システム機器や情報システム、サービス等ハードとソフトが集結した情報発信・技術交流の場である「国際物流総合展----LOGIS-TECH TOKYO----」の規模を拡充し、2016年9月に開催します。
同時に物流現場改善活動の活性化や、ロジスティクスの高度化を担う幅広い人材育成に向けた能力開発支援事業などに取り組んでいきます。2016年も当協会は、わが国産業活動と国民生活の持続可能な発展に向け、全力をあげて課題に取り組みます。会員の皆さまをはじめ、関係各位の一層のご支援とご協力を心からお願い申しあげ、新年のご挨拶といたします。