大日本印刷:滅菌後洗浄工程のない新無菌充填システム
2015.12.18
大日本印刷は、従来と比較して充填時の水使用量が大幅に削減できるPETボトル用無菌充填システムを開発し、国内の飲料メーカーで初めて採用された。ボトルの滅菌方法で過酸化水素を用いた最新システムで、PETボトルの成形時に発生する余熱を利用し、滅菌後の無菌水による洗浄工程を無くしたものだ。従来と比較して水の使用量を約9割削減する。
炭酸飲料向けに使用される耐熱圧PETボトルの軽量化や、茶系飲料やジュースなどミネラルウォーター以外の内容物でPETボトル重量が国内最軽量レベルとなる14.6g(350〜550mlボトル用)の製品を実用化するなど、環境対応の強化を進め、飲料メーカーの環境負荷の低減を支援する。
同社は、無菌状態を保ったチャンバー内でプリフォームをブロー成形し、高温・短時間で滅菌した内容物を急速に冷却して常温で充填するシステムでは、国内でトップクラスのシェアを誇る。1990年代のPETボトル飲料は、約85〜90℃に熱して滅菌した内容物を充填するホット充填が主流であった。
無菌環境で内容物を充填する包装技術の開発を1973年から開始し、コーヒー用ミルクのポーションパックのほか、ヨーグルトやチルド飲料等のカップ用の無菌充填機などを開発してきた。1994年にはPETボトル用の無菌充填システムを開発し、充填と同時にプリフォームからボトル成形を行うものである。
プリフォームで充填する工場に納入でき、成形済みのボトルを輸送する場合と比較して大幅な環境負荷の低減ができる。飲料を常温で充填できるため、薄く軽量なボトルの採用が可能となった。
近年、さらに環境負荷の低減に向けて水使用量削減への要求が高まっており、システムとしての機能を損なうことなく、従来と比較して水の使用量を大幅に削減したPETボトル用無菌充填システムを開発したものである。
PETボトル成形機と充填機を一体化し、成形時の余熱を利用した温風での乾燥(エアリンス)時間を長くすることで、これまでの滅菌用過酸化水素などの除去に用いていた無菌水でのボトル内の洗浄工程を不要とした。
これにより、成形機と充填機が分かれていた以前のシステムと比較して、水の使用量を毎時24.8トンから2.7トン(1分間に600本の充填が可能なシステムでの換算)へと約9割削減する。
炭酸飲料にも兼用できるPETボトル用無菌充填システムでは、水の使用量削減に加え、耐熱圧用のPETボトルの軽量化も可能となった。ミネラルウォーター以外の内容物用に、国内最軽量レベルとなるPETボトル重量が14.6g(350〜550ml PETボトル用)の製品を実用化し、輸送効率の向上を図る。