味の素:合弁でシステイン塩酸塩の生産会社設立
2016.02.10
味の素は、日本理化学薬品との合弁によるシステイン塩酸塩の生産会社設立に合意し、契約を締結した。合弁会社は2017年度下期に稼働を開始する予定である。
システインは、医薬品、食品、フレーバー用の原料として広く使用されているアミノ酸で、市場では主に動物由来の原料による抽出品が使用されている。そのほとんどが中国メーカーで生産されており、近年の環境規制強化、為替変動、人件費高騰などの要因で供給が不安定となるリスクが高まっている。
近年、食品、フレーバー用を中心に非動物由来のシステインの需要は高まっており、世界的にみて供給量は十分ではない。同社では、システインの原料となるシスチンの発酵法での生産を2013年に開始し、発酵法によるシスチンを原料としたシステイン誘導体の生産をグループの日本プロテインで行っている。
今後の拡大する需要に対し、同社の供給能力は上限に達しており、生産拡大は急務であった。一方、日本理化学薬品は、システイン生産のパイオニアであり、1960年代から医薬原料用を中心としたシステイン誘導体を生産している。
今回、日本理化学薬品と合弁会社を設立し、同社の発酵技術と日本理化学薬品で長年培われたシステイン生産技術を生かすことで、非動物由来のシステイン塩酸塩の供給能力を拡大し、市場のニーズに対応する狙いである。
同グループは、アミノ酸のリーディングカンパニーとして基幹技術である発酵技術を生かし、全てのアミノ酸の発酵品への切り替えを進め、今後とも高品質のアミノ酸を提供していく意向である。