ハイデルベルグ:ポストプレス製品ラインアップ拡充
2016.05.25
ハイデルベルグ社は、一般商業印刷分野に向け、生産性が最大50%向上するスタールフォルダー「TH/KH82-P」の新世代機を、2016年6月初旬開催の「drupa 2016」で発表する。ポストプレス製品のラインアップをさらに充実する考えである。
ポストプレス工程は、印刷会社のバリューチェーンで、印刷物を最終製品に仕上げる重要な役割を担っている。前工程と連携しながら効率を最適化し、ワークフロー全体での生産性を高めるという役割も求められている。
一般商業印刷分野では「生産性」が、パッケージ印刷分野では「品質」が最重視されているが、いずれの場合でも信頼性が高く、トラブルのない生産環境が前提条件となる。同社では、こうした市場の要望に対して最適なソリューションを用意するものだ。
同社セールス・サービス部門の責任者で、ポストプレス部門の担当者取締役のハラルド・ワイマー氏は、「『drupa 2016』に向けた、ポストプレス戦略について「印刷生産工程全体を最適化するため、絶えずポストプレス製品のライン アップを拡げてきた。今回は、商業・出版印刷に向けて、最適な新製品を発表する。どの製品もお客様の成功に役立つ、競争力に秀でた製品であると確信する」と語る。
同社が発表する「TH/KH82-P」の新世代機の型名最後に付け加えられた「P」は、「パフォーマンス(Performance)」の頭文字で、機能性、生産性、信頼性の強化を意味するものだ。
主な顧客層は、スピードマスターXLシリーズに代表される最高速の印刷機で、工業的な商業印刷を行っている印刷会社、あるいは年間4000万枚以上の後加工処理を行っている製本会社である。「TH/KH82-P」には、最上位機種のスタールフォルダー「TX96」の革新的技術を継承したPFXフィーダが採用されている。
安定した紙さばきで定評あるPFXフィーダは、印刷機と同じストリーム給紙を実現した画期的なフィーダである。このPFXフィーダを利用すれば、用紙をさしみ状に給紙して、用紙間隔をマイ ナスにできるため、生産性は最大で50%向上する。
このストリーム給紙が可能な機種は、今回発表する「TH/KH82-P」と「TX96」(drupaバージョン)のみである。用紙をさしみ状に搬送するストリーム給紙なら、ベルト速度を上げることなく、より多くの折り丁が生産できる。たとえばA4×16ページの折り丁を毎分150mで処理する場合には、最大で毎時1万6000枚の折り丁が生産できる。
また低速で給紙できれば、品質の向上はもちろん、感光紙のようなデリケートな用紙でも安定的に処理できるようになる。このようにストリーム給紙が、「生産性の向上」と「品質の安定」という2つのメリットを提供する。
この「TH/KH82-P」はスタールフォルダーの最上位クラスに位置するが、ハイデルベルグではお客様の仕事内容や求める性能に合せて、スタールフォルダー「Ti」やスタールフォルダー「BH/CH」、スタールフォルダー「TX96」と「TH/KH82-P」を組み合わせたシステムなどもラインアップしている。
いち早く導入を果たしたドイツ企業が「TH/KH82-P」の品質と生産性を高く評価する。ドイツ・ニーダーザクセン州のオスナブリュック市、ベルムに拠点を構えるフルサービスの印刷会社のマインダーズ&エルスターマン社は、新しいスタールフォルダー「KH82-P」と「TH82-P」を導入して顕著な成果を上げている。
同社では2015年秋から「TH82-P」の現地テストを行ってきたが、スピードマスター「XL106」の高速印刷に同調し、ポストプレス作業を進めるためには「TH82-P」を既存のスタールフォルダー「TX96」と組み合わせて使うことが最適だ。
同社ポストプレス部門代表のクラウ ス・ハリーグ氏とレイナー・スールバウム氏は導入後の成果について「とくに16ページの一般的な折り丁では無敵ともいえる。生産能力が大きく拡大し、生産計画も見直している。5月からは、すべてのポストプレス機器がプリネクトワークフローに統合され、生産工程はより透明で効率的になる予定だ」と語る。
スタールフォルダーで仕上げた折り丁は、すぐに中綴じ機や無線綴じ機に送られて、パンフレット、カタログ、雑誌、事業報告書などの最終製品へと加工される。約170人の従業員を抱える同社は、1874年の創業以来、長い歴史のなかで国際的なシステムプロバイダーを目指して発展してきた。
【写真】高い生産性を誇るスタールフォルダー「TH/KH82-P」。ストリーム給紙のPFXフィーダとパラメディスアルファ500hdデリバリを装備したスタールフォルダー「TH82-P」。