東洋紡:100%バイオ樹脂PEFを製造
2016.09.15
東洋紡は、オランダのバイオベンチャーAvantium社と100%バイオ樹脂ポリエチレンフラノエート(PEF)の製造を行う。PEFは、PETに近い特性を持ちながら、フィルムやボトルに成形したときのバリア性はPETよりも高い。そのため、新たな用途展開ができるとして期待される100%バイオ由来の樹脂だ。今後は、PEFを使ったフィルムの製造も行っていく予定である。
100%バイオ樹脂のPEFは、Avantium社がバイオ由来の糖質原料から製造するフランジカルボン酸(FDCA)と、バイオ由来のエチレングリコールを重合して製造するものだ。市場にある多くのバイオPETは、石化原料のテレフタル酸とバイオ由来のエチレングリコールを重合して製造したもので、100%バイオ樹脂とはいえない。
テレフタル酸のバイオベース化で、100%バイオPETの開発も行われているが、一方でAvantium社はテレフタル酸に似た構造を持つフランジカルボン酸を、糖質原料から高効率に製造する方法を開発し、独自100%バイオ樹脂を実現したものである。
様々な企業がAvantium社に注目するなか、ポリエチレンフラノエートの重合については、以前から交流もあり独自の重合技術を持つ同が行うことになったものだ。岩国事業所で重合を行う。
PEFフィルムの特長として、バイオ由来の糖質原料でつくったフランジカルボン酸とバイオ由来のエチレングリコールを使うことから100%バイオ樹脂となる。PETと比較して酸素は10倍、水蒸気は2倍のバリア性を有する。
いまだ100%バイオ原料のPETは商業生産されておらず、今後はPETに近い特性とそれを超えるバリア性を持つPEFを新しい素材として、市場へ展開していく考えである。樹脂やフィルムの販売については、三井物産と協力し、サンプル提供は2017年からを予定する。
すでに同社では、バイオマス高融点ポリアミド「バイロアミド」、非晶性ポリ乳酸樹脂「バイロエコール」、一部バイオ原料を使用したパッケージングフィルム「バイオプラーナ」などバイオ樹脂製品を製造している。今後は扱うバイオ樹脂製品のラインアップを増やし、機能製品の1つとして拡大していく考えだ。
(※)Avantium社...オランダ・アムステルダムに所在する、再生可能資源分野での最先端の化学テクノロジー企業。代表(CEO)はトム・バン・アーケン氏。