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大日本印刷:認証ナイロンフィルム包装材を開発

2016.10.03

n_20161003_02.jpg 大日本印刷(DNP)は、再生可能原料を使用した認証ナイロンフィルム包装材を開発した。その製造するナイロンフィルム包装材は、BASFが樹脂製造を、興人フィルム&ケミカルズ(KJFC)がフィルム製造を担当する。そのサプライチェーン全体の製造プロセスを第三者認証機関が監査認証し、ナイロン樹脂を用いた材料で認証手法と製造体制を構築するものだ。
 同社は、2010年に植物由来原料を一部に使用した「バイオマテック PEフィルム」を、2012年に「バイオマテック PETフィルム」を世界に先駆けて開発している。
 その後、酸素と水蒸気のバリア性を高めた透明な蒸着フィルム「バイオマテック IB-PETフィルム」や、バリア性と遮光性に優れたアルミ蒸着フィルム「バイオマテック VM-PET」、L-LDPE(直鎖状低密度ポリエチレン)フィルムを製品化するなど、「DNP植物由来包材バイオマテック」のシリーズを拡充してきた。
 サトウキビから砂糖を精製した後の廃糖蜜やとうもろこしなどの植物由来の原料を一部に使用することで、石油の使用量を削減するものである。環境負荷を定量的に評価するLCA(Life Cycle Assessment)手法により、石油由来と比べて、温室効果ガスを製品のライフサイクル全体で削減できる。
 これまで再生可能原料を用いたプラスチックとしてPETやPEがあったが、ナイロンはなかったことに対し、同社は再生可能原料を使用した認証ナイロンフィルム包装材を開発したものである。BASF開発のマスバランス方式を利用し、再生可能原料が石油由来原料を代替する効果をナイロン樹脂に配分するもので、次のような流れで認証できる。
 
 (1)ナイロン樹脂を再生可能原料(バイオナフサやバイオガス)で製造すると仮定し、どの程度の再生可能原料が必要になるかという量を算出する。
 (2)BASFの工場で製造する製品の原料として投入する石油由来原料の替わりに、1)で算出した必要量の再生可能原料を投入する。
 (3)(2)で製造された再生可能原料による石油代替効果を、再生可能原料を使用して製造した様々な製品からナイロン樹脂に配分(集約)する。このナイロン樹脂を用いてKJFCの工場でナイロンフィルムを製造し供給される流である。
 
 実際、ナイロン樹脂の製造に再生可能原料は含まれていないが、他の製品で使用した再生可能原料を厳密に管理し、第三者認証機関が製造や管理システムの監査を行うことで、ナイロンフィルムに再生可能原料による石油代替効果を付与するものだ。
 同社およびBASFとKJFCの3社は、各製造工程で第三者認証機関TÜV SÜD(テュフズード本社:ドイツ)の認証取得を進めている。認証ナイロンフィルム包装材は、持続可能な部材と位置づけられ、採用する企業の環境配慮の姿勢の評価にもつながる。
 また再生可能原料を使用した同社の詰替えパウチなどのフィルム包装材のバイオマス度はこれまで数%〜30%程度であったが、同包装材では100%再生可能原料で代替された包装材とすることが可能となる。より環境負荷が低い製品の提供では持続可能な社会の実現に貢献する。
 同社は、日用品メーカーなどに向けて販売し、バイオマテックシリーズを含め2017年度で30億円の売上高を目指している。今後は、より環境負荷が低い多様な包装材を積極的に開発していくことで持続可能な社会の実現に貢献していく考えを示す。
 
(※)BASFは既に認証を取得済み。KJFCとDNPは現在、認証監査中。