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ニュースフラッシュ

《年頭所感》人間社会のプラットフォームとしてのロジスティクスの高度化に向けて

2016.12.16

n_20161216_03.jpg《年頭所感》人間社会のプラットフォームとしてのロジスティクスの高度化に向けて
遠藤信博(公益社団法人 日本ロジスティクスシステム協会 会長)

 
 2016年度は、東日本大震災以来の大きな地震が各地で発生しました。被害を受けられました熊本、大分を中心とする九州地方の皆様、さらには鳥取を中心とした地域の皆様に心よりお見舞いを申し上げます。
 地震、荒天による災害の多いわが国では、災害時においても確実に機能する社会プラットフォームとしてのロジスティクスシステムの確立が必要です。このため必要な情報をリアルタイムに捉えて、正確でスピーディな機能を充実させ、大きな災害にも耐えうるロジスティクスの開発が重要なテーマであり、協会を含めて皆様とともに努力を重ねてまいりたいと思います。
 2016年は国内外ともに、今後の社会の枠組みを大きく変えるようなできごと
が幾つもありました。日本では、経済に大きな影響をもたらす総人口が減少に転じ、今後の経済成長のあり方を真剣に検討する必要が現実化してきました。
 世界に目を転じると、ヨーロッパでは中東からのあるいは欧州内での移民問題に端を発した保護主義的な動きが顕著に見られ、米国でも移民問題や資本主義が本質的に抱える格差問題が大統領選挙の大きな争点となり、激しい選挙戦の結果、次期大統領にトランプ氏が選出されたことは大きな話題となりました。
 いずれにしても情報や人の移動、経済の動きなどは単独の国や地域の単位では制御が叶わなくなってきており、地球規模でいかに調和を図って行くべきかが問われているのだと思います。「COP2016」のパリ協定は、地球規模での環境の調和を推進する大きな一歩であり、同様な動きが経済の観点からもより強く要求されてくると思います。
 豊かな人間社会を実現する社会プラットフォームである、ロジスティクスシステムもまたグローバルでの調和が要求されています。グローバルな規模でリアルタイムな情報収集と共有を行い、これらを十分に活用することでエネルギーの観点からも、運用コストの観点からも効率的なシステムの実現が必要となっています。
 これによりロジスティクスの価値を、さらに高めて行くことが重要であろうと思います。2016年大きな話題となった囲碁のAI「AlphaGO」に見られるように、今もなお急激に拡大する計算機能力をベースにした見える化、関係性の分析、そして分析結果からのシステム最適化などの能力は、非常に高いレベルになってきています。
 すでに実社会でも適用が始まっており、実物領域とサイバー領域をつなぐIoTプラットフォ?ムも実現しつつあります。これらの技術を総合的に使い切り、AIをロジスティクスシステムに取り入れて「人、モノ、プロセスをつないで新しい価値」を創造するバリューチェーン・イノベーションの実現が求められています。
 2017年、当協会では設立25 周年を迎えることとなり、この節目にあらためて「ロジスティクスコンセプト2020」のもと、新年度の活動を展開してまいります。2016年設立した「ロジスティクスKPI 推進部会」及び「ロジスティクスIoT推進部会」の活動を深化させ、産業界が抱える課題を共有し、解決に向けた方策を検討、実行します。
 またロジスティクスに関する課題解決のための情報発信・技術交流の場である「ロジスティクスソリューションフェア」の規模を拡充し、2017年8月に開催するとともに、物流現場改善活動の活性化や進展するグローバルロジスティクスへの対応、ロジスティクスの高度化を担う幅広い人材育成に向けた能力開発支援事業等にも取り組んでまいります。
 ロジスティクスナショナルセンターとして、荷主と物流事業者との連携によりロジスティクスの高度化を推進する経済産業省、並びに物流生産性革命を掲げて様々な切り口からプロジェクトに取り組む国土交通省など、関係各省庁の施策と歩調を合わせ、産業活動の発展と国民生活の向上に向け全力を挙げて課題に取り組んでまいります。