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凸版印刷:ICタグでワイン不正開栓を検知

2017.01.30

 凸版印刷は、ワインのコルク栓引き抜きや不正な穴開けを検知できるICタグ「CorkTag(コルクタグ)」を開発した。偽造ワインや不正な詰め替えからのブランドプロテクション用途として、国内外の高級ワイン醸造メーカーに向けに2017年1月中旬から本格的な販売を開始している。
 ワインのコルク栓を外側から覆うラベル形状のNFC対応ICタグだ。アンテナ回路とは別に上面・側面にそれぞれ断線を検知する回路を持ち、コルクの引き抜きはもちろん、上部に針で小さな穴を開けただけでも開栓を検知する。また、その履歴をICチップ内に記録する。
 通常、ICタグはアンテナ回路が断線すると破損して通信ができなるが、検知回路が断線した後もICタグとして機能する特殊ICチップを採用したものだ。NFCに対応しているため、スマートフォンでも製品の開栓/未開栓の確認が可能である。
 生活者が開栓した後にも、スマートフォンでICタグを読み取ることで、産地情報の提供やキャンペーンWebサイトへの誘導が可能なため、マーケティング活用も可能である。
 この認証セキュリティ事業を手がけるベルギーのSelinko SAと共同で開発したブランドプロテクションシステムとして、フランス・ブルゴーニュ地方の高級ワインメーカー「ドメーヌ・エマニュエル・ルジェ」で採用され、2016年12月から順次出荷されている。
 近年、模倣品や海賊版の流通は世界的に拡大しており、その年間被害額は約177兆円にのぼると推計され、内容も多様化している。ワインや蒸留酒も偽造被害の対象となり、模倣品や偽造品が流通しつづけることで、真正品の売上減少やブランド価値の低下を招く恐れがある。
 ワインの場合、一度コルク栓を抜いて中身を入れ替えるだけでなく、コルク栓を抜かずに専用針で天面に小さな穴を開けて中身を入れ替えるといった悪質な手法による被害も増えており、その対処方法が課題になっている。
 今回のワイン向け開栓検知機能付きICタグラベルは、コルク栓の引き抜きはもちろん、コルク天面への穴開けも感知できるため、偽造品・模倣品の抑止に効果的である。
 スマートフォンでの読み取りが可能なNFCに対応しているため、スマートフォンで手軽に開栓/未開栓の判定が可能な他、消費者向けの情報提供ツールでもある。通常のICタグは回路の一部が断線すると読取不能となり、特殊なICチップを採用することで通信用アンテナと断線検知用回路の2つの回路を備えている。
 そのため検知回路の断線で開栓を検知する仕組みながら、断線してもICタグとしての機能を保持できる。開栓記録はもちろん、トレーサビリティ情報からマーケティング情報までの情報を生活者が開栓した後まで提供できる。
 断線検知回路を持つICチップの採用と同社が独自に開発したアンテナ構造により、コルクの引き抜きはもちろん、天面への穴開けも検知できるため、偽造品や不正詰替えの抑止に効果的である。
 1枚あたり約90円(30万ロットの場合)を価格設定で、まずは高級ワインを取り扱うワインメーカーに向けに拡販し、2018年度に約50社での採用を目指している。