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清水清三郎商店:ゼオライト膜技術での濃縮アルコール清酒

2017.03.16

n_20170319_01.jpg 清水清三郎商店は、三菱化学のゼオライト膜「KonKer」を用いて旨味・香り・アルコール成分を濃縮した、ア ルコール度数30度の新しいお酒「concentration 作 凝縮 H」(375ml、販売価格5,000円・税別)を、2017年3月30日からはせがわ酒店パレスホテル東京店で販売を開始する。
 豊かな香りとキレの良さで高い評価の清水清三郎商店の純米酒「作 穂乃智」を原料に、三菱化学のゼオライト膜を活用して水分子だけを取り除き、アルコール成分だけでなく、「作 穂乃智」がもつ旨味・香り成分も2倍に濃縮したものだ。
 2016年春に開発に成功し、同年に開催された伊勢志摩サミットでは試飲展示および代表団向けのビュッフェに採用され、世界各国の顧客に日本の酒の美味しさと技術力を伝えたものである。
 醸造酒は発酵によりアルコールや旨味・香り成分を生み出すが、発酵のみで濃度を高めるには限界がある。また蒸留などで濃度を高める方法では、加熱するため、熱に弱い旨味・香り成分は変性してしまう。
 ゼオライト膜は、3.8Åの大きさの揃った細孔を持ち分離性能が高く、他の水分分離技術では濃縮できない成分にも対応できる。耐水性に優れ、含水率の高い食品や飲料と水の分離が可能である。
 また日本酒やワインなど酸性の飲料にも適用可能な耐酸性を有すもので、低温で脱水することができ、食品や飲料の美味しさや香りを保ったまま濃縮できる世界初の技術である。
 開発は2013年12月に成立し、2014年1月に施行された「産業競争力強化法」の「グレーゾーン解消制度」に基づき、同社が経済産業省に照会を実施したものだ。2016年1月15日付の財務省及び経済産業省からの回答書で、試験製造品に対する実験室内外での取り扱いが認められた。
 これにより酒造メーカーへのサンプル送付などが可能となり、大幅に開発が加速したものである。
 
(※)「グレーゾーン解消制度」...新事業活動に関する規制の適用の有無を、事業者が照会することができる制度。事業者が新事業活動を行うに先立ち、あらかじめ規制の適用 の有無について事業所管大臣に照会し、事業所管大臣から規制所管大臣への確認を経て規制の適用の有無に関する回答を受ける。
 
【図説明】
ゼオライト...鉱物の一種で結晶中にサブナノサイズの微細孔をもち、イオン交換材料、触媒、吸着材料 などに利用される。
ゼオライト膜...ゼオライトを分離膜として利用するためにセラミック基材上にゼオライトを膜状に形成したもの。
原理...混合物(液体または気体)は、ゼオライトの選択性(吸着と分子ふるいの性質)により分離される。
応用例...食品の旨み成分濃縮(特許取得済み)、エタノール、イソプロパノールからの脱水、 天然ガスからの二酸化炭素の分離。