大日本印刷:レトルト可能なレーザー印字包材
2017.05.23
大日本印刷(DNP)は、従来品よりも少ないレーザー照射で文字がはっきりと表示でき、レトルト(加熱)殺菌処理も可能なフィルム包材「DNPレーザー型消えない印字包材」を開発した。食品や医療・医薬、日用品のパッケージ向けに販売し、2020年度には10億円の売上を目指す。
同社は、2015年5月に食品の賞味期限などを表示するレーザー印字の視認性を高めた安価な包装材を開発し、すでにいくつかの加工食品に採用されている。独自開発のインキを使用したこの製品は、レーザーを照射によってフィルムの内面に塗布した特殊インキが白から黒に変色する包装材である。
今回、白インキと発色インキの配合を工夫するなどの改良を進め、レーザー照射量を従来の約半分にして文字をはっきりと表示でき、視認性を格段に向上させたものである。レーザー照射量を減らすことで、包材ダメージの軽減が可能となる。
フィルムとフィルムの間に塗布したインキが発色する印字方式で、物との接触や油の付着などによって賞味期限や製品情報等が消えることを防ぐ。情報の改ざんや製品の偽造防止にも効果的だ。従来よりも太い線幅の文字が表示でき、視認性も向上している。
インキのコストダウンにより包装材一部あたりのコストを低減でき、例えば15万袋を製造する場合では、1袋あたりのレーザー印字の単価を従来の1/5以下に低減できる。またインクジェット方式や熱転写方式の印字カスや炭酸ガスレーザーによって発生する煙などが抑えられ、クリーンな環境で製造できる。
インクジェット方式や熱転写方式と比べて、インクやリボンなどの部材が不要となるため、印字加工コストをトータルで抑えることが可能だ。熱水式121℃で30分間のレトルト(過熱)殺菌処理でも、印字濃度が低下することはなく、良好な視認性を維持するものである。