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ニュースフラッシュ

東洋紡:高耐熱フィルムを事業化

2017.08.24

 東洋紡は、長瀬産業との合弁により、生産・販売会社を設立するとともに生産工場を敦賀事業所内(福井県敦賀市東洋町)に建設する。2017年12月に着工し、2018年10月の稼働予定である。ガラスやシリコンウエハーと同等で、ポリマーフィルムとして世界最高レベルの寸法安定性を持つ、高耐熱性ポリイミドフィルム「ゼノマックス」を事業化するものだ。
 今後は、電子回路基板材として、既に採用される電子ペーパーディスプレーに加え、有機ELなどのフレキシブルディスプレーやセンサー向けに用途を展開する。2018年4月には資本金は34億円で、東洋紡66.6%、長瀬産業33.4%の出資比率で合弁会社を設立する。長瀬産業はマーケティングを担当し、2022年度には100億円の売り上げを目指す。
 ポリイミドフィルムは、強固な分子構造を持つポリマーフィルムの一種で、高い耐熱性や優れた絶縁性を有している。これまで主に電子回路基板材用の絶縁フィルムとして使われてきた。一方、ディスプレーやセンサーなどに用いられる薄膜トランジスタ(TFT)などの電子回路は、高い加工温度に耐える必要があるため、従来はガラス基板上に形成されてきた。
近年、ディスプレーやセンサーの軽量・薄型化やフレキシブル化が進むにつれて、薄くて曲げやすいポリマーフィルム上に形成したいとのニーズが急速に高まっており、ガラス基板上にTFTを形成する際と同じ加工温度下でも、変形や伸び縮みしない耐熱ポリマーフィルムが求められていたのである。
 「ゼノマックス」は、室温?500℃まで熱膨張係数が約3ppm/℃と一定で、ポリマーフィルムとして世界最高レベルの寸法安定性を持つポリイミドフィルムである。米国の研究機関のミシガン・モレキュラー・インスティチュート(Michigan Molecular Institute)から独占実施権を得た技術と、同社の持つ高耐熱ポリマーの合成技術やフィルム製膜技術を融合し、従来のポリイミドフィルムでは不可能だった、ガラス基板と同等の高い寸法安定性を実現した。
 コーポレート研究所を中心に開発を進め、製品化に成功したことで、400?500℃の高温下で加工が必要なTFTの基板材として使用することが可能になった。これまで、研究所内のパイロット生産設備で製造し、電子ペーパーディスプレー向けのTFTの基板材として使用されてきた。
 今後は、電子ペーパーディスプレー向けTFT基板材の需要増に対応するとともに「薄い」「軽い」「割れない」「曲がる」などのフィルムの特性を生かし、フレキシブルな有機ELディスプレーや各種センサー用途に加え、ガラスやシリコンウエハー、セラミックなどに代わる基板材料として展開を図りたい考えだ。
 ディスプレーやセンサーに用いられる薄型のトランジスタなどの電子回路はこれまでガラス基板上につられてきたが、高耐熱フィルムはガラスに比べて重さが70分の1、厚さも15分の1で曲げやすい利点もあり、ガラスに代わる基板材として需要が高まっていることから事業化して本格生産するものである。