三菱ケミカル:接着性樹脂の新グレード開発
2017.10.03
三菱ケミカルは、ポリプロピレン(PP)とポリ塩化ビニル(PVC)を接着することができる接着性樹脂「モディック」の新グレードを開発した。ポリオレフィンやポリアミド、エチレン・ビニルアルコール共重合樹脂(EVOH)などの極性樹脂又は金属に対して優れた接着性を有している。
これまでの「モディック」は、食品包装・建材・自動車などの幅広い分野で、多層フィルム・シート・ブロー成形品・金属被覆などの用途で広く採用されている。PP及びPVCは、汎用樹脂としてあらゆる用途で使用されるが、両樹脂の極性が大きく異なっている。
そのため多層フィルムなどの製造での共押出成形では、接着させることが非常に困難であった。そのため溶剤型の接着剤を塗布して貼り合わせる工程などが必要であった。新グレードではPPやPVCとの親和性の高い成分の分散をコントロールすることで、PP-モディックの界面及びPVC-モディックの界面を強化させ、優れた接着性を発現させる。
これより、従来は難しいとされていた共押出成形によるPP、PVCの接着が可能となりました。PVCと新グレードを共押出によって製造したフィルムは、PPと熱融着の性能を有するので、貼り合わせ工程の省略化に大きく貢献することができる。
今後、自動車・建材等の様々な分野で、PPやPVC の特性を兼ね揃えた、これまでにない構成を有するフィルム・シート・異形押出品などの創出に貢献できると期待している。多様なニーズに応じるべく、接着性樹脂のラインアップの拡充に努め、機能性樹脂事業の拡大を加速させたい考えである。
(※)複数の押出機を用いて同時に溶かした異なる種類の樹脂を押出・積層して1工程でラミネートフィルムを作る方法。