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ニュースフラッシュ

味の素:メディカルフード市場に本格参入

2017.11.12

 味の素は、味の素ノースアメリカ社(AJINA社)を通じ、米・医療食品会社 Cambrooke Therapeutics, Inc.(キャンブルック社)の株式を約6400万米ドル(約72億円)で取得し、完全子会社化した。
 キャンブルック社は2000年の創業で、アミノ酸代謝異常患者等向けの医療食品を開発・製造している。その他、難治性てんかん患者向け医療食品や腎臓・肝臓疾患患者向け低たんぱく質食品などを手掛けており、欧州など米国外でも展開している。
 独自素材を活用し、競合品に比ておいしく、かつ消化に優れた製品を開発するなど過去3年は年率20%を超える高成長を遂げている。米・メディカルフード市場は2016年に17億5000万米ドル(約1980億円)と世界最大の市場で、年間平均成長率は約10%と堅調に推移している。
そのなかでも、特定の栄養素を体内で代謝することができない代謝異常患者向けの医療食品市場は、6億6000万米ドル(約750億円)と米市場の約4割を占め、年率10%で伸長している(2017年推計)。代謝異常患者は、通常の食事を摂取できず、特定の医療食品のみの摂取で、おいしさやバラエティーの少なさが大きな課題である。
 同社は、これまでメディカルフード市場向けに素材としてアミノ酸を販売してきたが、今回の買収でメディカルフード市場に本格参入する。アミノ酸の栄養や生理機能に関する科学的知見やおいしさ設計技術、食品アプリケーション技術をキャンブルック社の事業に適用し、代謝異常患者への充実した食の提供を目指す。
 また対象疾病領域の拡大と海外販売ルートを活用した海外展開の強化で、2027年の売上高を約9000万米ドル(約100億円)、世界のアミノ酸代謝異常患者向けの医療食品市場でのシェアを20%へ拡大する。
 キャンブルック社の医療食品事業の知見を、同社の国内外の加工食品、健康ケア食品、サプリメント等の食品関連事業に導入し、高付加価値の健康・栄養関連製品の拡大も図りたい考えである。
 アミノ酸をベースにした研究で長年培ってきた独自の先端バイオ・ファイン技術を軸に、食品・アミノサイエンス事業を展開してきており、今後も「食」と「健康」を通じて社会課題の解決に貢献し、新たな価値を提供しつつ事業の拡大を目指すものである。