drupa 2020:世界50ヵ国1,800社超の規模で開催
2019.12.02
メッセデュッセルドルフ・ジャパンは、drupa本部長兼印刷・メディア産業メッセ統括のサビーネ・ゲルダーマン氏とdrupa実行委員会会長クラウス・ボルツァ=シューネマン(ケーニッヒ&バウアー社代表取締役社長)氏の来日に合わせ、都内のホテルで「drupa 2020」の開催概要とトピックスおよび業界トレンドなどのプレゼンテーションを主催した。
「drupa 2020」は、2020年6月16日?26日の11日間、メッセ・デュッセルドルフで開催される国際印刷・メディア産業展である。世界の印刷業界の最も重要なビジネスの場として、独自の地位を築いており、世界50ヵ国からおよそ1,800社の出展が予定得されている。
出展申し込みの多い国・地域のトップ 5 は、ドイツと日本、イタリア、中国、イギリス(2019年9月時点) で、業界を代表するグローバル企業はもとより、野心的な中小企業、有望なスタートアップまで、あらゆる種類の企業・団体が参加する。
出展社の30%が新規で、全バリューチェーンでの様々な分野横断的な技術を示す。メッセ・デュッセルドルフの全ホールを使用し、出展製品群には1)プリプレス、印刷、2)プリメディア、マルチチャネル、3)ポストプレス、加工、包装、4)未来技術、5)素材、6)関連機械・機器、サービス、インフラがある。
ゲルダーマン氏は、「印刷は、触覚・技術、革新的な素材、仕上げ技術などの手法により、まったく新しい体験ができる新次元に突入した。循環型経済、人工知能、プラットフォームエコノミー、コネクテッドコンシューマーなどの世界的な傾向は、業界に大きな影響を与えている」と語る。
「drupa cube」「dna - drupa next age」「touchpoint packaging」「touchpoint 3D fab+print」「touchpoint textile」の多彩なフォーラムを開催する。またフォーラムの枠を超え、数多くの出展社が各分野の新たな解決策をブース展示する。
「drupa cube」は、教育と魅了、楽しみをテーマにした会議・イベントプログラムで、印刷のイノベーション力と様々な産業や生活分野での幅広い応用に焦点を当てたものである。イベントでは、プリンテッドエレクトロニクスや創造性に富んだマルチチャネル応用、包装と垂直市場などの従来の分野でのデジタル印刷の活用などの技術が対象となる。
また学際的 アプローチでは、多岐にわたる市場でのクリエイティブエージェンシー、ブランドオーナー、 業界の間のギャップを埋めていくものとなる。登壇者は、出展社だけでなく他業界の主要な意思決定者も含まれ、学際的思考がイノベーションをリードする方法を実証する。
ベストセラー作家であり、世界的コンサルタントのM. ゲイル氏が、思考リーダーおよびイノベーションパートナーとして幾つかの課題に関する重要な洞察を提供する。
ビジネスプロセスを、「完全に点検し見直す方法は?」「時代遅れの思考パターンを克服する方法は?」「会社全体を変革する方法は?」などをはじめとする課題は、われわれが現在経験する前例のない激変の中核となっている。
中小からグローバル企業まで、あらゆる規模の会社が将来に向けた明確で積極的な ビジョンの開発を迫られている。基調講演やCEO会議、エグゼクティブシンクタンク、ブランドストーリーなどの様々なイベントで、こうしたニーズに応えていくものだ。
Dna(drupa next ag)では、業界の未来のトピックに焦点を当て、グローバル企業、スタートアップ、革新的な中小企業の間で、生産的な経験値の交換を促進することを目的としている。これまで「drupa innovation park(dip!)」として行ってきたところに、新しいコンセプトを組み込んだ特別エリアである。
ここでは、成功事例またはビジネスケーススタディ形式での分野横断的な技術に関連した新製品のアイデアやサービス、戦略などが紹介される。「touchpoint packaging」は今後も大きな成長の可能性を秘めた分野で、包装印刷に関する特別フォーラムが設けられる。
欧州パッケージデザイン協会(EPDA) との協力により、touchpoint packagingは包装の今後、とくに包装デザインについて発信するエリアとなる。コンセプトは、われわれの社会を形成する世界の巨大潮流が、明日の包装ソリューションに与える影響に焦点を当てる、ということだ。
例えば、新たな基盤や環境への影響を低減する顧客固有のソリューション、ネットワーク化のパッケージなどが含まれる。これらの課題への適切な回答を行うため、バリューチェーンのすべてのポイントから新たな調査結果をまと める。選ばれた業界パートナーによる運営委員会が初めて設立された。
その構成は、 欧州パッケージデザイン協会(EPDA)やAGFA、BOBST 、 DANONE、ESKO、HEIDELBERG、HP INDIGO、KURZ、NESTLÉ、SIEGWERKである。
また、ミラノ芸術デザインアカデミー(NABA)をはじめ、主要教育機関で国際デザインを学ぶ、学生も独自の角度から将来の包装ソリューションを提案する。業界側は、BST ELTROMATとCLOUDLAB、DALIM、EFI、KODAK、 KOENIG & BAUER、KONICA MINOLTA、MERCK、SAUERESSIG、WERK II といった、先進的なパートナーによる専門パネルディスカッションを行う。
生活者とブランドオーナーのニーズと要求に応えた、革新的なデザインと包装ソリューション、それを用い特別に開発されたプロトタイプのプレ ゼンテーションであろう。様々な視点を組み合わせて、touchpoint packagingフォー ラムは包装印刷分野の目玉となろう。
touchpoint 3D fab+printフォーラムは、出展社の展示内容を拡大し、業界の全範囲を対象として最先端技術と成功事例に関する情報発信を予定する。初めて、ドイツ機械工業連盟(VDMA)の付加製造協会が、講演プログラムの内容を形作り、実施する。
講演者の例を挙げれば、デュイスブルク・エッセン大学生 産技術学部のG. ヴィット博士、同大学ラピッドテクノロジーセンター(RTC)のS. クレシュチンスキー博士が、付加製造とその今後の可能性について紹介する。
ほかにもトピックとして、印刷および製紙技術への応用で、印刷機用の高性能部品と予備部品の付加製造などがある。3Dプリンティングを含む、サービス拡大を計画する印刷所には、とても有益な場となろう。
「touchpoint textile」フォーラムは、デジタルテキスタイル印刷の可能性に特化している。様様な業界の企業を結びつけ、マイクロ ファクトリーで実施できる業界間協力や新規プロジェクト、斬新な製品や製造のアイデアのための、創造的なスペースを提供する。
フォーラムの主要パートナーは、 欧州最大のテキスタイル研究センターで、ドイツテキスタイル・ファイバー研究所(DITF)である。DITFは、様々な業界のパートナーとともに、顧客から完成品までの完全ネットワーク化されたサプライチェーンを含む、デジタルテキスタイルマイクロファクトリーを実演する。
特別フォーラムに加えてインフラの更新、新たな顧客向けたサービスにも、投資が行われた。アプリ、マッチングツール、オンラインオーダーシステムなどは、「drupa 2016」以降に刷新されたものだ。出展・来場社の双方が、目標達成のために、より簡単かつ効率的に1日を計画できるようになっている。