• ニュースフラッシュ
  • ワールドビュー
  • 製品情報
  • 包装関連主要企業
  • 包装未来宣言2020

トップページ > ニュースフラッシュ > 《編集部発》ヤサイな仲間たちファーム

ニュースフラッシュ

《編集部発》ヤサイな仲間たちファーム

2022.05.24

n_2022_0524_03.jpg 深谷テラスのヤサイな仲間たちファームの内覧会の機会を得た。埼玉・深谷市に新設された野菜を収穫を体験できる複合施設である。
 深谷市の花園IC拠点整備プロジェクトの一環となるもので、隣には広大なアウトレットショッピングモールが建設中である。
 ファームの魅力は野菜農園での収穫体験と、深谷市と近郊から寄せられた旬の野菜50種超を品ぞろえするマルシェに、グランドメニューのない野菜が主役のレストラン、くわえて野菜の魅力を学ぶ教室の複合施設であることだ。
 元々は、2012年に始まったキユーピーの新規事業プラン社内公募制度「Kewpie Startup Program」で採択されたプロジェクトであった。厳しい条件の下に始まった土地(場所)探しやコロナ禍の障害もあり、10年間を経てようやく実現したものだ。
 内覧会では、プロジェクト担当のキユーピー執行役員の森佳光氏と採択されたプロジェクト提案者で、深谷ベジタブルコミュニケーション野菜営業部の松村佳代氏、レストランを監修するオトワグループ代表の音羽和紀氏、フレンチシェフの音羽創氏、そして農業プロデューサーの中村敏樹氏があいさつに立ち、そのあとに施設内外を内覧した。
 プロジェクトの始動から10年を経ても、実際に建設を始めたのは2021年4月で、2022年2月にほぼ完了したもので、その点ではまだヤサイな仲間たちファームとしての魅力を発現できるほどではない。
 約3分の1を占めるとはいえ、総敷地面積(約17,600m2)としては小さく、以前は造成地であったことあり、まだ栽培する野菜は30種程度で珍しい野菜に触れるまでにはいかない。プロデューサーの中村氏は、実際に香川で約300種の野菜を栽培しているようだが、それに匹敵する種の栽培を目指す考えもあるようだ。
 その中村氏は、あいさつで「旬の野菜には虫がつきにくい」と語った。いうまでもなく安定供給を企業の使命と考える経営者は多く、そのため野菜でも(旬に依らず)年間栽培が常となっていることから、農薬や化学肥料は欠かせない。
 300種もあれば、1年間それぞれの旬の味を楽しめるのかもしれない。「とくに冬場の野菜は品種も多く、ゆっくりと育つのでおいしい」という。
内覧を終えて試食して感じることは、規模が小さいだけに将来的には野菜の種類の豊富さや旬の味、また無農薬と有機肥料での栽培がファームの肝となってくるのではないかと思う。
内覧でガイドをしていただいた方に、畑の上空に飛ぶ雲雀の巣をみせていただいた。その折に「野菜を栽培することで、鳥や虫など命の循環を感じられる」とガイドの方が話していた。
野菜の美味しさや美しさから、もし「命」を感じることができるのはファームの醍醐味である。ただ、あいさつのなかでは、誰もそのことに触れなったのは残念である。
 「命」の循環ということでいえば、野菜ファームではあっても、たとえば鶏やブタ、またヤギや牛を数頭でも飼育するスペースを設けられれば、より有意義なファームとなることは間違いない。